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2014 年度 実施状況報告書

19世紀末ドイツの高質品生産とその労働力基盤に関する地帯構造論的見地からの研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530390
研究機関広島大学

研究代表者

森 良次  広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (10333999)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードドイツ経済史 / 中小経営 / 玩具産業 / 在来産業 / 高質品生産
研究実績の概要

ドイツの高質品生産とそれを支える歴史的条件がいつどのようにして形成されたのかを明らかにすべく、平成26年度に引き続き最終消費財産業である玩具産業を取り上げ、産業史研究を行った。その結果明らかとなったのは、①ドイツ玩具産業の高質品化が顕在化するのは19世紀末のことであり、ニュルンベルクの金属玩具産業の興隆がそれを牽引したこと、②玩具産業の主要な労働力給源である山村の副業から出発した家内工業は、劣悪な労働・生活条件のために19世紀末の社会政策学会で「社会問題」として取り上げれていたこと、③しかし、ドイツにおいて玩具産業は相対的低賃金部門ではあったが、国際市場においてはドイツ玩具産業は既に低賃金労働力のみに依拠して競争できる状況にはなく、製品の品質と多様性(新製品開発能力と産地全体でのフルライン生産)よって輸出を拡大したこと、④ニュルンベルクの金属玩具産業の主たる労働力給源は都市手工業者であり、彼らがツンフト的伝統に固執せず、金属玩具という非伝統財の開発・生産とその機械制生産に積極的に取り組んたことが玩具産業の高質品生産を推進したこと、⑤その過程で大規模な工場制工業が成立・発展しつつも、中小経営は存立し、小経営では製品アイデア、中経営では高質品生産が経営存立・発展の基盤になったこと、である。
今後の課題としては、①日本、イギリス、アメリカ合衆国など他の玩具主要生産国との競争関係のなかにドイツ玩具産業を位置づけ、賃金水準の比較と競争力評価をすること、②ニュルンベルク玩具産業における高質品生産(中経営)の実態と徒弟から小経営主への職業ライフコースの実態を、明らかにすることである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

中小企業性の強い玩具産業を取り上げ検討しているために、産業・経営の実態究明に時間を要した。

今後の研究の推進方策

今後の課題は、①日本、イギリス、アメリカ合衆国など他の玩具主要生産国との競争関係のなかにドイツ玩具産業を位置づけ、賃金水準の比較と競争力評価をすること、②ニュルンベルク玩具産業における高質品生産(中経営)の実態と徒弟から小経営主への職業ライフコースの実態を、明らかにすることである。そのために、英米独の生産費を可能にする一連の同時代史料やドイツ労働組合関係史料を利用する。

次年度使用額が生じた理由

計画通りの史料調査を実施できなかったため。

次年度使用額の使用計画

計画通りにすすまなかった史料調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 第一次大戦前のドイツ玩具産業の発展と中小経営の存立2015

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 学会等名
      経済空間史研究会
    • 発表場所
      KKR沼津はまゆう
    • 年月日
      2015-03-28 – 2015-03-29

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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