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2016 年度 実績報告書

19世紀末ドイツの高質品生産とその労働力基盤に関する地帯構造論的見地からの研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530390
研究機関広島大学

研究代表者

森 良次  広島大学, 社会科学研究科, 教授 (10333999)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードドイツ経済史 / 中小経営 / 高質品生産 / 労働集約型産業発展 / 玩具産業
研究実績の概要

ドイツの高質品生産とそれを支える歴史的諸条件がいつどのようにして形成されたかを明らかにすべく、玩具産業を取り上げ、玩具の主要生産国であるアメリカ合衆国、イギリス、日本との競争関係のなかで、ドイツ玩具産業の動態を検討した。その結果明らかとなったのは、次の4点である。
①第一次大戦前のドイツ玩具産業は、世界の玩具輸出の7割を占める圧倒的な玩具生産・輸出国であり、大衆市場向けの廉価品から高価格の高質品に至るまであらゆる市場分野で国際競争力を有していた。
②第一次大戦後は、ドイツの敗戦と戦後の経済的混乱、世界的な保護主義の高まり、アメリカの輸入代替工業化、日本の労働集約的生産によるアメリカむけ玩具輸出などにより、ドイツ玩具産業は世界市場においてその比重を低下させるが、その過程において家内工業を生産の主たる担い手とする労働集約型の産地(エルツ山地)でも、また資本集約型の発展を遂げた産地(ニュルンベルク)でも並物品生産の縮小と高質品生産の拡大がすすんだ。
③エルツ山地でも工場制工業化がすすまなかったわけではないが、産地全体としてはむしろ既存の家内工業体制が維持され、そのもとで製品の質的向上がすすみ、それを支える手工的技能および製品開発力の強化が目指された。ニュルンベルクなど資本集約型の発展を特徴とする産地・生産者でも並物品の量産ではなく、高質品の量産を拡大する傾向がみられた。
④ドイツの高質品生産とそれを支える技能養成制度は、19世紀末以降目的意識的に追及されるようになる。その生成の要因は、手工業制度をはじめとするドイツ的伝統のなかに求められるというより、直接にはドイツ国内における生産諸条件の変化(原材料費の高騰、低賃部門の賃金上昇と協約賃金の普及など)と世界市場における主要生産国間の国際競争関係に起因しるものであった。国際競争の対応の結果こそが高質品生産と技能養成制度の強化であった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 第一次大戦前ドイツ玩具産業の発展と世界市場における位置2017

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 雑誌名

      広島大学経済論叢

      巻: 41 ページ: 印刷中

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] Labour-intensive Industrialization in Global Competition:International Rivalry in the Toy Business from the 19th to 20th Centuries2016

    • 著者名/発表者名
      Masayuki TANIMOTO and Ryoji MORI
    • 学会等名
      European Business History Association
    • 発表場所
      Bergen, Norway
    • 年月日
      2016-08-26
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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