研究課題
基盤研究(C)
戦前の日本では,農業生産が目覚ましく発展したものの,実質賃金は総じて停滞的に推移していたと考えられてきた。だが,こうした従来の見解は,地域的な実質賃金の動向を見逃しており,見直しが必要である。そこで本研究は,1880~1920年代の日本を対象として,初期の農業生産力の高低を基準に先進地域と後進地域を区分し,それぞれ徳島県北東部,長崎県島原半島を例にとって実質賃金の変化を分析した。その結果,いずれの地域でも農業生産の発展によって実質賃金は上昇していた事実が判明した。
近代日本経済史