研究課題/領域番号 |
24530392
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中村 靖 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (60189066)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソ連 / 計画経済 / 通貨管理 / 資金循環 / 国民経済計算 / 経済発展 |
研究概要 |
H24年度は、ソ連国民経済計算(国民経済バランス)、外貨・貴金属管理関連データの収集し、それらのデータによって通貨管理および外貨管理をソ連マクロ経済発展の中に位置づけるための準備作業をおこなうことを主要目的とした。入手できた国民所得および国家財政関連の統計資料により、資金循環の歴史的変化について分析し、2012 Asian Historical Economics Conferenceにおいて'Soviet Banking'と題する報告をおこない、その後、Comparative Economic Studies誌に論文'Soviet Banking, 1922-1987'として掲載された。さらに、通貨供給と外国貿易との関係の歴史的変化について論文'Soviet Money Supply and the Foreign Trade'としてまとめ、現在Economic Systems誌に投稿中である。 この後予定通り、通貨管理をより完全なソ連マクロ経済フレームワークの中に組み込む作業をおこなうが、この点については資料上の制約がなお大きい。2012年9月のロシア経済公文書館、2013年3月の大英図書館における資料調査により追加的な資料を入手できたが、ソ連国民経済計算統計である国民経済バランスの1962年以降の分は見つかっていない。経済公文書館が大修理に入ったことの影響も大きかった。 次年度以降、さらなる資料調査とともに、現有資料によるマクロ経済フレームワークの作成、計量モデルによる実物・金融経済の連関の分析、ソ連経済発展の実物面での分析として技術進歩の再検討をおこない、それぞれ論文としてまとめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現金、非現金通貨管理、銀行金融、予算資金金融をソ連マクロ経済発展の中に位置づけて展望するという今年度の作業は順調に進展し、予定していた2点の論文のうち1点はすでに出版された。 ソ連国民経済計算統計、外貨・貴金属関連統計の収集については、1970年の国民経済計算統計の一部が入手できたが、外貨関連統計はまったく見つけられなかった。国立公文書館が大修理により事実上の閉鎖状態になったことが大きな理由であるが、外貨・貴金属関連統計はなお秘匿されている可能性が高い。国民経済計算については、ソ連時代にまさに同統計を作成していたロシア人研究者に1962年以降の同統計集の収集を依頼している。しかし、当人も資料を見つけられない状態が続いている。発見は容易ではないと思われるが、ロシア経済公文書館は2013年春以降に再開予定であるので、さらなる資料調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)現有のデータにもとづき、(a)ソ連マクロ経済フレームワークの作成、(b)ソ連実物-金融経済連関計量モデルの作成、分析する。 (2)1962年以降のソ連国民経済計算(国民経済バランス)および外貨管理関連統計データの調査・収集をすすめる。 (3)ソ連期経済発展の実物的側面からの再検討の一環として、技術進歩率の計測をおこない、特に日本と比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費10万円:消耗品、海外ルータ・レンタル料。 旅費40万円:ロシアあるいはドイツ(東ドイツ期公文書)において、国民経済バランスおよび外貨管理資料(東ドイツ)の調査をおこなう。ヘルシンキにおいてソ連・ロシア金融経済についての共同研究をおこなう。 その他10万円:英文校正費。 なお未使用額1,895円は、発注品納品が期日に間に合わなかったため。
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