H26年度は、本研究の最終年度の研究課題として,ソ連経済における実物経済と金融経済の関係についての実証的分析をおこなった.具体的には,(1)ソ連期の貿易,通貨供給,財政(関税)収入の分析,(2)金融経済と実物経済の関係のマクロモデルによる分析,(3)資金利用効率の変遷を間接的に推定するための生産性の分析の3点をおこなった. (1)では,ソ連期の財政収入の7-8%ととなる関税収入のほとんどはネット(純)タームトでは財政収入に貢献していなかったことがわかった.この研究成果は,英文論文として現在投稿中(修正条件付き掲載可で修正中)である.(2)については,投資建設部門の生産性上昇が上昇していても計画未達成であると,単純なモデルにおいても,経済成長の持続が困難になることがわかった.この研究成果は学会に報告し,論文として発表した.(3)については,従来一部期間しかおこなうことができなかった,生産性の推計をソ連期全期間についておこなった.従来の見解とは異なり,生産性上昇率は長期的に低下傾向にあり,1980年代はゼロからマイナス成長であったことがわかった.この研究成果は,英文論文として現在投稿中(修正条件付き掲載可で修正中)である.
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