ソ連計画経済は貨幣と資本の排除を目的として企画された.貨幣市場,資本市場は,法的,制度的には存在しなくなった.一方,現代的経済を機能させるために貨幣の利用に代わる方法は見いだせず,貨幣はソ連体制の最後まで利用され続けた.ここで,ソ連計画経済は,貨幣・資本市場が存在しない条件下で不換通貨を管理するという課題に直面することとになった.本研究では,この課題の実践的,理論的解決の糸口すら存在せす,その結果,ソ連全期間を通じ,資金利用効率,つまりは貨幣価値の継続的低下が続いていたことを実証的に示した.貨幣市場を使わずに不換通貨を管理する方法が無い限り,計画経済の失敗は必然的結果だった.
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