研究課題/領域番号 |
24530394
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
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キーワード | インド産綿布 / 通貨 / セネガル / 19世紀 / ボルドー / CFAフラン / グローバルヒストリー / ポンディシェリー(インドのフランス領) |
研究概要 |
本年度は、主に19世紀のインド―フランス―セネガルの経済関係に関する資料収集に専念するとともに、日本語で概要をまとめた。 具体的な内容としては、まず、4月に、19世紀にセネガルで通貨として使用されていたインド産綿布に関する資料を得るため、かつての「インドのフランス領」であったポンディシェリーにて、当時の植民地政府が発行していた官報に相当するものを1830年代から19世紀末分まで閲覧した。5月には、フランス財務省で1820年代から1900年までの貿易データを閲覧・収集するとともに、フランス国立図書館で、インドおよびセネガルに関する年報を閲覧した。9月にはセネガルとインド貿易の結節点であった、フランス南西部の港湾都市ボルドーの文書館にて、商業会議所の議事録を閲覧するとともに、フランス北西部ロリアンのインド会社博物館で主任学芸員を務めるインド産綿布の専門家を訪問し、絶版になっている文献を閲覧させてもらった。また、フランス中央銀行で、19世紀から20世紀にかけての資料を閲覧した。 10月以降はそれらの資料を読み込むとともに、研究の一部を社会経済史学会近畿支部で発表した。また、統計の整理をするとともに、日本語で上記の内容をまとめて査読雑誌に投稿した。その際、東京大学の経済学部図書室にて不足のデータを補完した。また、グローバル経済史、フランス経済史、フランスのアーカイブに関する研究会に参加し、知見を広めた。 今後は、これらをもとに、19世紀に、セネガルで通貨として用いられていたインド産綿布交易に関する論文を英語でまとめるとともに、インド産綿布と入れ替わるようにフランス政府によって導入された植民地フランおよびCFAフランについての調査を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他の研究を優先する必要にあったため。今年度からは、こちらの研究を優先し巻き返しを図る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・入手している統計を表計算ソフトにまとめる。 ・19世紀にセネガルに持ち込まれたインド産綿布とセネガルの換金作物交易についてこれらの統計資料をベースに明らかにし、英語論文にまとめる。 ・翌年度には、その英語論文を、国際学会で発表するとともに、雑誌に投稿する。 ・当該地域で用いられている通貨が、インド産綿布から植民地フラン導入、そしてCFAフランへと変化していくに伴い、セネガルおよび西アフリカの経済がヨーロッパに統合される様を、数年後に予定されている書籍出版にむけてまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2年目はほぼ予定通りであったが、初年度の研究の遅れ分を取り戻せなかったため。 英文校閲とWindow8.1のパソコン購入費に充てる予定である。
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