研究課題/領域番号 |
24530394
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インド産綿布 / セネガル銀行 / CFAフラン / UEMOA / BCEAO / フランス / 西アフリカ / 通貨 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀から20世紀末までの期間について、仏領西アフリカで利用されていた、もしくは現在も利用されている通貨に焦点をあて、それらが地域経済および世界経済との関係に与える影響を考察するものである。 まず、19世紀にフランスの支配下におかれた仏領西アフリカは、主に、現在のセネガル共和国の沿岸地域になる。昨年度末に、当該地域で広く受け入れられていた商品貨幣であるインド産綿布に関する論文をまとめ、査読誌に投稿した。今年度は、その審査を経て、書き直しを行い、条件付き採択に至った。現在は、採択に向けてさらなる修正を継続中である。なお、本論文を作成するにあたり、19世紀に仏領インドからフランス経由でセネガルに再輸出されたギネの貿易データベースを作成した。また、同時に、そのギネと交換にフランスに運ばれた財の統計データも整備した。 ところで、フランス政府は商品貨幣であるインド産綿布を通貨として認めつつも、1853年にセネガルに植民地銀行(セネガル銀行)を設立し、信用貨幣の導入を行った。これについても調べ、「セネガル銀行(1853-1901)設立の背景とその実態」という題目で神戸大学の研究誌に発表した。 他方、20世紀については、第二次世界大戦以降から現在にいたるまでの期間について、旧仏領西アフリカを中心に8か国で利用されている共通通貨、CFAフランをとりあげ、その複雑なシステムと、それが当該地域に与える影響、今後の展望について2本の論文にまとめて商業雑誌に発表した。研究者以外の方にも読んでいただき、一般の方から反応もあった。 加えて、本研究内容は、事典や教科書を分担執筆する際にも活かされた。担当箇所の具体的なタイトルは以下のようになる。「アフリカとグローバル経済」(日本アフリカ学会発行『アフリカ学事典』)および「アフリカ経済のグローバル化とリージョナル化」(『現代アフリカ経済入門』第8章)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は別記の5本の論文にまとめて発表した。加えて、1本の論文が査読誌に条件付き採択となった
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成27年度は、本研究内容を英語でまとめるとともに、国際学会で発表することになっている。また、データや情報、史料を補完しながら、19世紀のインド産綿布のグローバルヒストリーに関する書籍執筆を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度についてはほぼ予定通りの支出額であった。未使用額が発生しているのは、初年度に本件以外にも多額の研究費をいただいたことから、それの使い残しの繰り越しがなされたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
フランス/セネガルの公文書館および図書館で、不足している資料について補完することに使う予定である。なお、平成27年度は、国際学会で成果報告をすることになっている。そのための英文校閲代金と、旅費の一部にも充てる。
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