最終年度は、4年間の研究成果の発表に力をいれた。 1.2016年4月にアメリカ合衆国ボストン大学のアフリカ研究センターにて、19世紀のセネガルの商品通貨であるギネのグローバル交易について研究発表を行った。その発表資料の英文校閲に本経費を用いた。2.英文査読付きジャーナルに本研究費の成果となる論文を投稿し、その英文校閲費に本経費を用いた。残念ながらまだ採択にはいたっておらず、次年度以降、修正や追加的な研究成果を加えて採択につなげたいと考えている。3.他方で、2015年に日本の学会誌に発表した論文が英訳されて学会から出版されることとなった。その翻訳準備作業のために大学院生にアルバイトをお願いし、その経費を本科研費から拠出した。4.アフリカ開発銀行(東京)がTICAD2016を機に出版した英語書籍(非売品、TICAD参加者に配布)に本研究成果の一部が掲載された。5.2017年1月29日に京都大学東南アジア研究所にて、セネガルに運ばれたインド産綿布ギネについての研究発表をさせていただいた。その際の旅費として本研究費を用いた。6.本科研費プロジェクトの内容を一般の人向けにまとめた論文「通貨の諸相-子安貝・植民地通貨・共通通貨・仮想通貨―」を所収する書籍が2017年3月末に出版された。 研究期間全体を通じての成果は,フランスが,19世紀にセネガルに持ち込んだギネ(インド産綿布)の概要を浮き彫りにすることができた点である。これについては日本のみならず国外でも関心を持ってくれる方が多く,その部分が本研究の大半を占めることとなった。対して20世紀については,依然として多くの課題が残されている。幸い,本科研費研究をより発展させる科研費二つに採択されたため,今後はそちらの科研費で本研究を継続する予定である。
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