本研究は,西アフリカで用いられる通貨の変遷と地域の関係を明らかにするものである。植民地化によって,かつて用いられていた子安貝,綿布といった商品貨幣の流通圏は分断され,各地域は宗主国を中心とする通貨圏に組み込まれた。独立後、旧仏領は、従来のシステムをほぼ維持し、対して旧英・葡領は独自の通貨を発行することで直接世界経済に統合されることを選択した。21世紀に入り、これらを統合して共通通貨を作るという新たな取り組みがはじまった。本研究では,こうした通貨の移り変わりと西アフリカ地域経済・世界経済との関係を明らかにし,特に,商品貨幣ギネ(インド産藍染綿布)のグローバル交易について詳しく調査した。
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