研究課題/領域番号 |
24530398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 克美 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (50304069)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソビエト / ファッション / 消費文化 |
研究概要 |
初年度の24年度は、ソビエトジーンズの生産に関する情報収集を中心に研究を進めた。2012年9月と2013年2月にロシア(モスクワおよびイヴァノヴォ)を訪問し、ジーンズ生産に関わった企業の調査を行った。具体的にはモスクワのロシア国立図書館やイヴァノヴォ市の公共図書館で1970年代の新聞記事を閲覧した。その成果として、生地製造に携わった企業名と生産開始年を特定することができた。また、この事実を報じた新聞記事から、わずかではあるが、その反響と消費者の反応を知ることもできた。 その他、図書館では、ソビエト時代の消費文化、特に服装や髪形などのファッションをテーマとする文献を多数入手した。ロシア国立芸術図書館でも貴重な雑誌を閲覧することができた。イヴァノヴォ国立テキスタイルアカデミーでは、繊維の街イヴァノヴォで製造されてきた生地についての貴重な写真集を入手することができた。 また、世論調査機関「レバダ・センター」のグトコフ所長を訪問し、次年度実施予定のアンケート調査の協力を依頼した。研究テーマを説明して、実施規模、実施方法等について協議を行った。 全体として、ソビエトジーンズのテーマで研究を深め、論文を書く見通しを立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、ソビエトジーンズを軸として著書を執筆する見通しを立てることができたことは、大きな成果である。今後は、ソビエト・ジーンズ生産の実態をより具体的にみていくが、検索の糸口となる時と場所を特定できたことで、今後の作業の進展が期待できる。 次に、ソビエトファッションの研究に関して、筆者の問題意識に近い研究書を見つけることができた。その著者はシベリアの地方都市の研究者であり、シベリアの資料に多くを依存してはいるが、研究の視覚や方法を大いに参考にしたい。
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今後の研究の推進方策 |
25年度には、ソビエト時代のファッションの消費習慣についてアンケート調査を行う予定である。調査の対象は、45才以上の男女で、5~6都市の住民 1500人程度である。24年度のレバダ・センターとの協議では、多くの都市住民が田舎に出かける夏季を避けて、5月頃に調査を実施する予定であったが、準備が遅れたため、秋以降に実施する。 得られた結果についての集計・分析は、研究実施者自身が行い、論文にとりまとめる。 ジーンズ生産については、生地の製造企業に関する情報をさらに集めるとともに、縫製企業についても特定を目指す。 製造に協力したデザインハウスと研究機関については、調査が進展していないが、アクセス可能な方法を模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2月の現地調査で収集した資料の郵送に時間がかかり、納品が間に合わず、24年度の研究費に未使用額が生じたが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 当初の予定通り、2013年夏にモスクワを訪問し、資料収集を行う。25年度の主な経費は、そのための旅費と、アンケート調査費である。
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