研究課題/領域番号 |
24530404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
飯塚 靖 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00514126)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 兵器生産 / 国共内戦 / 東北解放区 |
研究概要 |
本年度は、国共内戦時期瀋陽を追われた中国共産党が、その後東北奥地でどのようにして兵器生産を進め、それら武器を用いていかに軍事的劣勢を挽回したかを研究した。本テーマの基礎資料は『中国近代兵器工業档案史料』四(兵器工業出版社、1993年)、袁鳳岐『東北解放区軍工史料』(1994年、内部発行)であり、そこには内戦期共産党による東北での兵器生産を総括する重要文書が所載されている。本年度はこの両書を読み解くことによって、東北奥地での兵器生産の実態をほぼ把握することができた。5月には韓国の満洲学会のシンポジウムでこれまでの研究成果を報告し、論文も同学会の会報に掲載した(満洲国戦時経済体制と国共内戦,満洲研究,13号,pp.53-72,2012.6.)。ただ、同論文は未だ中間報告の内容であり、今後さらに研究を進め完全な論文にまとめたい。 さらに本研究のためには、東北での国共内戦の具体的推移、及び国共両軍の武器の使用状況の把握も欠かせない。そこで、劉統『東北解放戦争紀実』(人民出版社、2004年)を読み進めることにより、国共内戦の実相の把握に努めた。 共産党の兵器生産に日本人留用技術者・労働者がいかに関係したかも重要な研究課題であり、本年度にはそうした技術者・労働者などの回想録などの発掘にも務めた。また、佐世保市在住の日本人で、戦後満洲に残留し中国人民解放軍の戦車部隊の少年兵であった人物から、聞き取り調査を行い、興味深い証言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に発表した論文はあくまで中間報告の内容であり、完全な論文をまとめられなかった。その理由は、共産党の東北部での兵器の獲得・生産と使用を数量的に正確に確定できないことにある。共産党の武器の入手方法は、ソ連軍からの旧日本軍の武器の引き渡し、国民政府軍からの鹵獲、旧日本軍の武器の収集と修理、兵器工場での独自の生産であった。このような各種方法により共産党はどれだけの武器を入手し、これを実戦でどのよに使用したのか。これを東北内戦の各段階ごとに明らかにしたいと考えている。ただ、これら数量を示す資料は極めて乏しく、各資料間の整合性も乏しく、資料不足は否めない。これが、論文を完成させるこができなかった最大の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の理由で論文完成が遅れているが、次年度には論文を仕上げたい。上述のように、資料の不足から共産党の東北部での兵器の獲得・生産と使用状況を数量的に正確に確定することは難しいが、これまで収集した資料でその概要だけでも示したい。また、共産党の東北奥地での兵器生産の実態については上述2文献により、その詳細な内容は把握できており、その内容を論文の柱としたい。 さらに上記の資料不足の状況を打開するために、次年度には台湾での資料調査を実施したい。台湾の中央研究院と国史館には東北部での軍需生産の資料が所蔵されている可能性があり、資料調査をぜひ実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
台湾及び東京での資料調査に25万円を充当し、その他は物品費として図書購入費に充てたい。
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