資料「中共事情」は、1953年からの後期集団引揚による引揚者からの聞き取り調査であり、中共に医者・看護師、運転手、各種産業の技術者・労働者などとして留用された人々からの調査が大部分を占めている。本年度はこれまで収集した資料「中共事情」を基礎として、さらに留用者の各種回想録を調査し、両者を用いた論文を執筆した。論文では、戦後大連に残留した日本人技術者が、いかにして中共により長期留用を強いられたかを解明し、留用のはらむ負の側面を明らかにできた。特に、大連で組織され、多くの技術者を欺瞞的手法で北満にまで送致した、中国経済建設学会なる謎の組織の真相に迫った。
|