研究課題/領域番号 |
24530406
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
柴田 善雅 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (00276669)
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キーワード | 満洲国法人 / 満鉄 / 満洲重工業開発 / 満洲国政府出資 / 関東州法人 / 東洋拓殖 |
研究概要 |
平成25年度は関連文献の収集に注力した。関連社史、関係者の回顧録のほか満洲国企業状況の背景を説明する図書等を古書店で調達した。集積した図書情報で企業活動、特に企業間結合に関する概要を把握する作業を続けた。併せて満洲で活躍した会社の営業報告書の複写作業を続け、マイクロフィルム版の複写を完了した。これらの作業により満洲で活動した法人の貸借対照表の接続作業を行った。もちろん入手可能な営業報告書は限定されており、欠落している法人や年期の補充が必要であり、そのため『満洲銀行会社年鑑』に掲載されている貸借対照表で補充した。ただしこの系列の数値は1941年前半までである。特に満洲事変期と日中戦争期の企業資料は比較的入手が容易なため、この時期については先行的に企業集団別の資産集計に着手した。一部未収拾の会社の営業報告書・決算広告を除き、貸借対照表を接続する集計作業は概ね終了した。アジア太平洋戦争期についてはさらに『満洲国政府広報』の決算広告で補充する作業を続けた。補充すべき会社の貸借対照表の件数が膨大となるため、平成25年度ではアジア太平洋戦争期については完了できていない。また欠落している会社と欠落年期の貸借対照表を埋めるため、年度末近くに、昨年度と同様に吉林省社会科学院満鉄資料館を訪問し、未点検の営業報告書の発掘と複写作業を行い、かなり補充できた。平成26年度には未発掘の法人の営業報告書の追加補充作業を続け、とりわけ1920年代の営業報告と決算広告、アジア太平洋戦争期関東州法人の決算広告の集積作業に重点を置いて行うことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は関連文献の発掘作業に注力した。その結果、昨年度の購入を大きく上回る予算執行となった。調達した社史等に掲載されている企業間関係の分析作業に着手し、平行して、併せて集積した営業報告書で政府系持株会社の子会社の貸借対照表の接続作業を続け、連結総資産を把握するため基礎統計を蓄積した。その結果、資料状況の良い満洲事変期と日中戦争期の営業報告書の発掘と貸借対照表の接続作業は、満洲国法人については、一部資料発掘が難しい法人を除き概ね完了した。そのため平成25年度は研究活動において、昨年度の遅れを挽回する十分な達成を見せた。それは年度当初から社史等の調達を行う傍ら、貸借対照表の入力作業を早めに開始し、逐次欠落する営業報告等を補充しつつ、統計処理を続けた結果である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度で到達できた企業情報の集積と企業集団の子会社の貸借対照表の接続作業を26年度も継続する。資料状況の良い満洲事変期と日中戦争期の貸借対照表の接続作業は一部資料的に未発掘の法人を除き、満洲国法人については概ね完了した。未発掘部分については吉林省社会科学院で一部を補充できた。同社会科学院における営業報告書の発掘調査を平成26年度も継続する。また1920年代については資料が乏しいため、大連で刊行されていた新聞の決算広告を発掘し、またアジア太平洋戦争期については『満洲国政府広報』決算広告で貸借対照表の接続を行う。アジア太平洋戦争期関東州法人については『満洲国政府広報』が使えない。そのため『関東局局報』を点検するが、悉皆ベースでの存在は確認されていないため、さらに新聞決算広告で補充することになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
国外出張(中国)を平成26年3月20日~30日に行なった。航空券と宿泊代金で204千円となった。帰国が3月30日となっため、平成25年度予算枠での国外出張旅費の執行と清算処理できずに次年度使用額が発生した。次年度使用額が発生したのはほぼこの要因である。 平成26年度は9月に海外出張を行なう。航空券手配はまだ行なっていない。オンシーズンのためホテル代金がやや高めになる。平成24年3月の海外出張旅費204千円と同水準の予算執行となると次年度使用額を上回るが、ホテルランクを下げる等で旅費を調整し、平成25年度出張旅費と同水準に抑え平成26年度に使用することにしたい。
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