研究課題/領域番号 |
24530407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
榎 一江 法政大学, 大原社会問題研究所, 准教授 (90466813)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 労働史 / 経済史 / 産業報国会 / 戦時期 |
研究概要 |
平成24年度は、産業報国会に関する研究史を再確認するための研究会を定期的に開催するとともに、法政大学大原社会問題研究所所蔵桜林資料(産業報国会関係資料)の集中調査を行い、資料の整理、分析を行った。 本研究の目的の一つは、産業報国会の活動記録を収集、整理し、分析可能な形にしたうえで、一般公開を目指すことにあるが、その中心となる桜林資料に関しては、その概要が明らかとなった。現在、資料全体の調査を完了し、932件の資料に関してデータ入力を終えたところであるが、残り約150件のデータ入力を行い、資料の全体像を解明することによって、一般公開が可能となるであろう。 他機関が所蔵する産業報国会に関する資料の調査としては、東京大学社会科学研究所および労働科学研究所の調査を行った。とくに、東京大学社会科学研究所が所蔵する「産業報国運動資料」は、前掲桜林氏が収集した資料をマイクロフィルムに収めたものであり、両者の関係を解明する必要がある。また、労働科学研究所は、戦時期に産業報国会の下部組織となった機関であり、当該機関に関しては所蔵資料の本格的な調査を行う必要があることが判明した。 以上の資料調査を行いつつ、研究協力者とともに、「協調会との関係に関する検討」、「企業における実践の再検討」、「ドイツ労働戦線との比較検討」という3つのテーマを追求し、戦時期の労働と生活をめぐる論点を浮かび上がらせる作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、予定していた資料の整理、分析を中心とする作業が順調に進んだ。その過程で、当初予定していなかった労働科学研究所所蔵資料の重要性が判明し、急きょ資料調査を行うこととなった。 また、本研究は非常勤職にある若手研究者を研究協力者として組織することによって研究を進めているが、調査の進展に伴い、研究代表者とともに研究を分担する研究分担者を加える必要が生じた。 以上の状況に対し、研究計画の見直しを含む柔軟な対応によって、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新たに政治史分野の研究分担者を加え、研究組織を強化したうえで研究計画を遂行する。とくに、基礎的資料の整理、分析を通して得られた検討結果を共有するため、研究会を定期的に開催する。その際、労働史のみならず、政治史、経済史、経営史やドイツ史の知見が必要になるため、適宜より専門に近い研究者を招聘して議論の場を設定する。そして、成果をまとめ、学術雑誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、法政大学大原社会問題研究所所蔵桜林資料(産業報国会関係資料)の資料整理とそのデータ入力のための研究協力者への謝金を計上していたが、一部入力作業が完了しなかった。残りの作業は次年度に行うため、次年度の謝金として使用する。 なお、研究の進展に伴い、次年度から新たに分担者を加える必要が生じたため、分担金の一部として謝金を使用する。
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