研究課題/領域番号 |
24530407
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
榎 一江 法政大学, 大原社会問題研究所, 准教授 (90466813)
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研究分担者 |
五十嵐 仁 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20193170)
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キーワード | 労働史 / 経済史 / 戦時 / ドイツ |
研究概要 |
平成25年度は、法政大学大原社会問題研究所所蔵桜林資料の整理・デジタル化を進めるとともに、当該資料を利用した研究の中間報告として論文を執筆した。 資料の整理状況としては、仮目録の作成を終え、暫定的に利用しうる形態ができた。一般公開に向けては、最終的な目録の作成とデジタル化の作業が必要であるため、謝金を利用して作業を進めている。 中間報告としては、『大原社会問題研究所雑誌』で「産業報国会の研究に向けて」という特集を組み、連携研究者3人とともに論考を発表した。産業報国会とは、1938年に「産業報国連盟」の発足を持ってスタートした産業報国運動のもと、全国の企業・事業所単位で会社役員・職員・労働者の全員加盟組織としてつくられた組織である。これにより、労働組合など既存の労働組織は解散して産業報国会に再編されていき、1940年の大日本産業報国会の創立を経て、1941年には8万5千以上の団体に547万人が参加し、ほぼ全国の工場・事業場を網羅するものとなっていた。そして、1945年8月の敗戦を経て、労働組合に再編成されていった。本特集は、「産業報国会研究の可能性」について提起するものであるが、ドイツ労働戦線をめぐる議論や産業報国会以前の労働運動、日本経済史研究における産業報国会の位置づけなどに焦点を当てており、その意味では、産業報国会そのものの解明には至っていない。しかしながら、産業報国会に関する従来の研究が、その組織が果たした機能に関心を集中させてきたのに対し、より広い視野で、戦争という非常事態に際し、この組織の活動を通して労働者の日常がどのように再編されたかを実証的に考察することにつながる作業となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画ではすでに所蔵されている資料の整理、公開を行ったうえで、研究を進め、研究成果を発表する予定であったが、資料の整理と同時並行的に研究を進めた結果、中間報告を先に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、①予定された資料の公開作業を進めるとともにその他資料の収集を行い、②中間報告として発表した論考をさらに深めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、所蔵資料の整理とともにその分析を進め、中間報告としての論文を執筆した。そのため、所蔵資料以外の資料に関する収集・分析を十分に進めることができなかったため、計上していた資料収集・研究打ち合わせのための旅費を使用せず、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、国内外の資料収集及び研究打ち合わせを集中的に行う予定であるため、旅費を要する。次年度使用額の多くは、この旅費として使用する。
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