企業と消費者間の電子商取引(B2C)に関し,「地域活性化」の観点から,「都市部」と「地方」間,日本とアジア圏の国との比較検討を通じて,B2Cに対する具体的な活用策を導きだすことを目的としている。特に消費者行動の調査,大学の役割,諸外国間の差異などを,アンケート調査やインタビューを基礎として明らかにすることを目的としている。 1.先行研究のサーベイ:国内やアジア圏および世界各地を対象としたB2C市場に関する研究、コンジョイント分析およびその応用に関する研究、B2Cの消費者行動およびICT利用態度の研究、アンケート調査についての研究、ベトナム経済と同国のB2C市場の現状などについてサーベイを行った。2.東アジアおよび東南アジア諸国の現状把握:特に日本およびベトナムにおけるB2C市場の現状の把握に努めた。マクロデータおよび政府・調査機関などの報告書、研究論文などを元に比較・分析を行った。3.消費者行動のアンケート調査:B2C利用者の消費者行動を明らかにするためのアンケート調査および結果の分析を行った。具体的には、品揃え、知名度、評判、送料、価格の5つの要素について消費者の優先度を導出した。日本については、知名度を最も重視すること、送料に大きな負担感があること、B2C利用経験者は未経験者よりも送料に対し負担感があること、B2Cでのトラブル経験者は未経験者よりも価格に寛容であることなどが明らかになった。これらをもとにB2Cの経営について提言を行った。同様にベトナムについては、口コミなどの評判が重視されること、利用経験者は価格をより厳しく評価することなどが明らかになった。これらの成果は、国内外での学会報告および論文として公表した。
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