研究課題/領域番号 |
24530415
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
久原 正治 昭和女子大学, グローバルビジネス学部, 教授 (00319485)
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キーワード | 危機管理 / 組織の失敗 / 金融機関組織 |
研究概要 |
福島原発危機と金融危機の二つの想定外といわれる危機における大組織の対応を比較検討する作業をそれぞれ進めた。 前者については、2013年3月沖縄大学での研究会で『原発事故の組織問題を考える』と題して発表の後、4つの公式報告書、その他の資料から組織対応に関する事例を取りまとめて2013年9月に、日本経営学界、経営学論集第83集に「大企業はなぜ大きな不確実性のもとで致命的な失敗を犯すのか―福島第一原発事故のケースで考える―」を掲載した。さらにこの間、同じテーマで研究するグループの成果を研究会等に参加する中で学び、これらを踏まえて、Micro Foundations of Crisis Analysis: Framework of Analysis and Findings from Case Studies in the Financial Crisis and the Fukushima Nuclear Accidentと題して概要をまとめ、国際学会(IFSAM)に研究発表プロポーザルを提出し受理されている。 一方後者については、2013年7月に証券経済学会、証券経済学会年報48号に「金融コングロマリット組織モデルの将来―米国金融組織の変革と持続可能な経営―」と題した論文にまとめ、2013年10月には証券経済学会第80回全国大会「危機と金融機関経営―想定外の危機の中での金融機関経営の対応を考える枠組み―」と題して、研究発表を行った。さらに、2014年3月金融財務研究会において、「金融機関はなぜ経営に失敗するのか―持続可能な金融機関経営に向けて―」と題して、最近の米国金融機関の危機対応動向について講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度予定していた海外の研究者との意見交換や、国内外でのフィールド調査は、2013年3月末前任校を退任し、同年4月より新学部を設置する大学に転任し、新学部学部長及びビジネス研究所副所長の管理の仕事に就いたため、海外出張の予定が立たず、これを十分に進めることが出来なかった。しかしながら、原発事故に関する資料の分析や、金融危機後の米銀の組織的な危機対応の文献調査については、一定の進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
福島第一原発事故に対処する東京電力組織の研究については、他の研究グループで事例研究の進展があるので、これらを本研究のフレームワークに入れて、日本企業の想定外の危機時の組織対応についての理論化を図っていきたい。 9月には国際学会でその成果を英語で発表(アクセプト済み)し、海外の研究者の反応を探りたい。他の国際学会にも応募検討中である。本年度は米国の学会にも参加し、同じ分野の研究者の意見を徴したい。 これらを踏まえて、秋口から論文のまとめに入りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた海外出張が、業務のため実行できず、他方で福島原発関連の資料購入に当初予定より多額の研究費を要したが、その差額が少額、次年度繰越となった。 最終年度にあたり、研究発表等で内外学会の出張に大半の研究費を投入予定である。(出張旅費約45万円)残りは、研究資料代(約10万円)、英語論文校正費用(約6万円)を予定している。。
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