研究課題
想定外の危機に際しての組織の失敗について、金融危機と原発危機を事例として分析する研究を進めた。本年は最終年度にあたるので、研究成果の発表を国際学会等で積極的に行った。原発危機については、これまでの公式報告書や当事者の記録等の分析を踏まえ、”Large and Complex Organization and the Unforeseeable Crisis: an Organizational Failure of TEPCO or an Unavoidable Natural Disaster"と題する共著ペーパーをまとめ、平成26年9月にローマ(TRE University)で開催されたInternational Academy of Management and Business学会で単独発表した。そこで複数の米国の経営、金融学者から金融危機における大銀行と原発危機の東京電力のモラルハザードの共通点を探索すれば意義のある研究となるとの指摘を受けた。金融危機については、『危機と金融機関経営:想定外の危機の中での金融機関経営の対応を考える枠組み』と題する論文にまとめ、証券経済学会誌に掲載された。これを、9月に東京(明治大学)で開催された国際学会International Federation of Scholarly Associationで発表した。そこでは、金融危機と福島原発危機を結び付ける新たな枠組みとして、危機のミクロ組織分析の枠組みを提起することが出来た。また、平成27年3月証券経済学会(明治大学)で個別の欧米銀のケーススタディを『金融コングロマリットはなぜ経営が困難になるか』の論題で発表した。マクロの危機を分析するミクロの組織分析という新たな理論枠組みについては、平成26年12月九州経済学会(九州大学)で『想定外の危機を分析するミクロ基礎』と題して問題提起し、今後の研究につながることになった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
証券経済学会年報
巻: 49 ページ: 272-277
Showa Women's University, Faculty of Global Business, Discussion Paper series #2014-03
巻: 2014-03 ページ: 1-19