研究課題
本研究は、平成23年度までの基盤研究(C)「原子力発電企業の社会的責任と事業経営の研究:安全と安心の両立」の研究成果を基に、さらなる理論的および実証的展開を目指して設定された。特に平成23年3月11日の東日本大震災および福島第一原子力発電所事故は、我々の想定を超えたものであり、前回の研究プロジェクトの成果を越えたさらなる総合的研究が必要と判断された。そこで本研究は、<組織社会/リスク社会>における「専門家と市民の新たな協働」の構築という課題に対して、複合的な3つの視点から接近することとした。課題は、①理念や規範的要素がどの程度現場作業レベルに具体的に浸透し実現されているか、②組織全体として事故や不祥事を引き起こすあるいは未然に防ぐ組織要因は何か、③いかにして「多様な専門家の言説」が構築され原子力発電企業やそれに関わる多様なステイクホルダーの諸活動を規定してきたか、であった。本研究グループでは、①および②についての研究蓄積はあったので、追加された言説分析の観点を意識しながら、原子力発電企業とそれをめぐる多様なステイクホルダー間でのやり取りを、検討してきた。その具体的成果は、①リスク社会は多元的な組織社会であり、「無数に機能分化した専門領域の職能人」たる諸専門家の諸活動のネットワークに依存していること、②各々の専門家の言説が特定領域における科学的言説に基礎を置くものであること、③そうした科学的言説は、細分化されすぎており、必ずしも市民の安心の確保につながらないこと、④リスク社会においては、「科学的知識なしでは問えないが、科学だけでは答えることができない」トランス・サイエンス問題が存在していること、である。本研究グループの今後の研究展開の一つとして、トランス・サイエンス問題に応えるための「専門家と生活者の協働確保」を、テーマに据えた。今後、その成果を公表していく予定である。
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調査研究レポート(FP協会)
巻: No. 76 ページ: pp. 1-6
Proceeding of the International Research Conference on Management and Finance 2014/ University Colombo
巻: No. 9 ページ: pp. 319-328
年報 中小企業・ベンチャービジネスコンソーシアム
巻: 12 ページ: pp. 5-21
証券経済学会年報
巻: 第49号 ページ: pp. 293-297