研究実績の概要 |
本研究は,「非営利法人制度改革」すなわち「公益法人制度改革」(2008年1月)および「新寄附税制&改正NPO法成立」(2011年6月)の全過程を「改定・協働の窓モデル」にもとづいて詳細に分析することにより,①非営利法人制度に関する法律の特徴である,市民に広く開かれた立法・改正過程のあり方の提示,および②これら法律の見直すべき問題点と有効な活用方法の解明を目指したものである。 聴取調査や報告書の参照等によって収集されたデータは「年代記分析」によって分析された。具体的には,第1に,全7期間から成る各期に関して,年表が作成された。第2に,各期の年表にもとづいて,各参加者が展開した具体的な行動と,それらの相互関係が詳細に記述された。第3に,全7期間における変化のパターンが解明された。第4に,分析結果が18の命題として要約された。 18の命題のうち,主要なものを上げれば次の通りである。①小泉政権と民主党政権が,ほぼ全期間にわたり存続する。②8名の政策アクティビストが,「非営利法人制度改革」を積極的に先導する。③政策的アクティビストは,15の重層的に連結された場を主体的に設定したり,場において主体的にリーダーシップを発揮する。④政策の決定・正当化は,政策を意図した活動と,政策を必ずしも意図しない偶然生じた活動とを結び付ける活動である。⑤「公益法人制度改革」が,「新寄附税制&改正NPO法成立」へ波及する。
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