研究課題/領域番号 |
24530419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
吉田 健一郎 麗澤大学, 経済学部, 助教 (70389899)
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研究分担者 |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (00151184)
島田 達巳 情報セキュリティ大学院大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00167446)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子自治体 / 情報化成熟度 / 成熟度モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、行政経営の視点から日本の地方自治体を対象として、情報化に関する成熟度モデルを構築するとともに、実証的に測定を行ない、適用することにある。成熟度モデルは、目指すべき方向を定める能力とその方向に向かえるかどうかの組織能力(capability)を評価するモデルであり、結果・成果だけでなく、結果・成果を生み出せる能力に注目する。以上の目的に沿って、これまでの研究成果である成熟度モデル試行版と海外事例(主に韓国)、日本の先進自治体へのヒアリング調査をもとに、新たな成熟度モデルを次のように設定し、「IT戦略」、「推進体制」、「業務改革」、「システム開発・運用」、「オープンガバメント」、「情報セキュリティ」の計6分野について適用したモデルを構築した。 【成熟度段階の設定と特徴】第0段階:当該要素の存在を確認できない、何もしていない、第1段階:形式上、当該要素がある、確認できる、第2段階:実質的に、当該要素が運用されはじめる、第3段階:当該要素が適切に管理され始める、第4段階:当該要素が改善される仕組みが機能している、第5段階:当該要素を構成するサブ要素が網羅的に実施され、それらが整合的に機能している 現在、「IT戦略」と「IT化推進体制」の2つを『基本的な組織能力』、「情報セキュリティ」「業務改革」「システム開発・運用」の3つを『セキュアで効率的かつ利便性の高い情報システムの構築及び運用』として、「オープンガバメント志向」が両者の関係性を飛躍的に高める組織要因(Capability)であることを検証する段階に入っている。 なお、IT戦略を組織能力として位置づけているのは、首長の方針(トップマネジメント)と大きくかかわっているためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
海外の先進事例(韓国)を調査する機会や日本の自治体のIT担当者とのインタビュー調査をする機会があり、成熟度モデル構築に向けたフレームワークが徐々に固まりつつあり、既に市・特別区に対してアンケート調査を実施する機会も得ることができたため、概ね、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
我々が2010年度まで行ってきた調査では上位に浮かび上がってこなかった先進自治体がいくつか判明したため、それら自治体への訪問調査を中心に成熟度モデルの検証並びに上位段階に向けてのストーリー型のロジックを構築していく予定である。 特に、組織要因の中でも「オープンガバメント志向」に焦点を当てて、外部とのインターフェースを広く設けることがBPRの鍵要因となり、ひいては、利便性・効率性の高いシステム開発・運用につながっていくことを成熟度モデルの洗練化とともに検証していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
関東圏・関西圏の先進自治体への訪問調査を予定している。これまで訪問実績のない上位の先進自治体として、8自治体を予定している。 並行して、これまでの成果を夏までにまとめて経営情報学会や情報経営学会において報告してフレームワークの洗練化を行うとともに、訪問自治体から得られた知見をもとに、PEMMのような「チェックリスト」となるべき参照枠を構築していく。なお、かかるチェックリストは、政策形成や効率的利用による住民満足度の向上や省力化した度合いで測るアウトカム(成果)のレベルと整合的なものを作成する。
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