研究課題/領域番号 |
24530423
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
浅川 和宏 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (50276424)
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研究分担者 |
澤田 直宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (00457847)
中村 洋 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 教授 (60286656)
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キーワード | オープン・イノベーション / 組織デザイン / 企業パフォーマンス |
研究概要 |
平成24年度、25年度にわたり、文献調査、レビュー論文の執筆と研究発表、さらにアンケート調査票の設計を行ってきた。当初アンケート調査自体を平成25年度に実施予定であったが、オープン・イノベーション概念の多様性、そして組織デザインとの関連性の複雑さを強く認識し、平成25年度は引き続きオープン・イノベーション、組織デザイン、企業パフォーマンスの諸概念の理論構築を重点的に行った。その上で、平成26年度実施のアンケート調査に備え、主要構成概念の変数化、概念間の関係性の精緻化を図るため、関係者へのヒアリング、研究者との意見交換、学会発表活動を精力的に行い、調査項目、調査モデルの外部・内部妥当性を高める努力を行った。 平成25年度には理論概念枠組みに関する我々の考え方を学会関係者に精力的に披露し、建設的フィードバックを得ることができた。Academy of Management(米国), Strategic Management Society(米国), Association of Japanese Business Studies、およびAcademy of International Business(トルコ)における研究報告から、アンケート調査項目設計に関する有益な示唆を得た。特にAssociation of Japanese Business Studies大会では、我々の論考がベストペーパー候補に選定され、高い評価を得た、こうしたこれまでの文献レビュー、概念変数化、概念間の関係性の精緻化は、平成26年度に実施するアンケート調査実施に向けての極めて重要な作業となった。それにより、データ収集後すみやかに分析し、分析結果を理論枠組みに照らし合わせ、いかなる貢献が見込まれるかを、予め想定することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度には重点的に理論的枠組みを精緻化し、オープン・イノベーションと組織デザインと企業パフォーマンスをめぐる関係性を理論的に体系化する作業を集中的に行った。そのために、内外の多くの当該分野の専門家と交流し、意見交換を行った。特に海外学会(Academy of Management, Strategic Management Society, Association of Japanese Business Studies、およびAcademy of International Business)においてこれまでの理論的枠組みに基づく論文を発表し、多くの有益なコメント、建設的批判、そして具体的助言を得ることができた。この点は当初の期待を上回る成果と考えられる。 他方、当初平成25年度に実施予定であったアンケート調査自体は、理論枠組みの精緻化、体系化を待たずに実施することに懸念を持ち、平成26年度に実施することにした。但し、その結果、調査項目が明確に定まり、入手データの分析結果が出次第、いかなる理論的貢献が存在するかの解釈方法が既に明確になったことは大きな収穫と考える。 以上の理由により、当初の研究計画からの変更もあったが、想定を上回る知見も得られたことを鑑み、現在までの達成度はおおむね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度にはこれまでに構築したオープン・イノベーションと組織デザインと企業パフォーマンスの関係をめぐる理論的枠組みに沿った内容のアンケート調査を実施予定である。回収率を高めるために必要な調査項目の外部妥当性の向上に対する工夫は平成25年度に行ったので、平成26年度にはデータ収集、分析、そして結果の理論的、実践的解釈に集中的に取り組む予定である。 それと並行し、本研究成果をIFSAM the 12th World Congress in Tokyo, September 2-4, 2014をはじめとする学会、ワークショップで引き続き報告し、ジャーナルへの投稿、書物の分担執筆などを通じた成果の発表を行っていきたい。更には、機会があれば、時間の許す範囲で、本研究により得られた知見を基に、経営実務家を対象とする講演、啓蒙活動にも取り組んでいきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査の実施を行う上で、構成概念、変数、因果モデルの外部妥当性、内部妥当性を慎重に検討し、回収率を最大限に高める工夫を行うとともに、オープン・イノベーションと組織デザインと企業パフォーマンスの関係を理論的、現象的によりよく理解するため、平成25年度は分析枠組み、モデル、仮説の精緻化に専念した。それにより、平成26年度にアンケート調査自体を実施する際に、質問項目の選定を最適化することが可能となった。その結果、アンケート調査に必要な実費が次年度に繰り越されることとなった。 上記の理由から発生する次年度使用額は、アンケート調査実施に要する経費として充当される。具体的には、アンケート代行業者に対するアンケート調査票送付先リスト作成、アンケート調査票デザイン、印刷、封入、郵送料、ウェブ調査デザイン、実施代金、データ入力料、データ整備料、集計料などとなる。
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