研究課題/領域番号 |
24530424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
間嶋 崇 専修大学, 経営学部, 准教授 (20352015)
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研究分担者 |
宇田川 元一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (70409481)
四本 雅人 明治大学, 研究知財戦略機構, 研究員 (90547796)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 経営組織 / 倫理 / 実践 / 組織の倫理化 / ナラティヴ / ストーリーテリング |
研究概要 |
本年度は,本研究課題の重要先行研究である「実践としての経営倫理(EAP)」研究の数多くの論文を検討し,さらに医薬品メーカーなどへのインタビュー調査などを行い,それらを通じて初年度の目標であったリサーチクエスチョンの明確化,理論的フレームの構築をすすめた。上述の2つ(先行研究検討,インタビュー調査)から,1.既存のEAP研究は,組織の倫理の実際を明らかにするに優れているものの,これまでの規範論的研究への批判に終始し,いかに組織の倫理化を行うのかという本当の意味での実践についてやはり議論が進んでいないこと,2.ANT(アクターネットワークセオリー)など,これまで視野外であった議論が理論的フレーム構築において非常に重要であること,3.また現実に組織の倫理化を実践していく上では,「語る」「語らう」ということ(たとえば,オフサイトミーティング)が非常に重要であることが明らかになった。 以上3点から,リサーチクエスチョンの明確化(計画段階の論点のうち「組織の倫理化はいかに可能か」がやはりとりわけ重要),理論的フレームの構築(EAP研究に加えANTの知見を付加した組織の倫理化の実際を解明するためのフレームの構築)を進めることが出来た。また,上記3.のように次年度以降に繋がるポイントも見つけることができた。 また,本研究プロジェクトでは,これらの知見を日本マネジメント学会マネジメント教育研究部会(4/21専修大学),2012年度組織学会研究発表大会(6/16立命館大学)Standing Conference on Organizational Symbolism(7/14Barcelona EAE Business School),第86回日本経営学会全国大会(9/7日本大学),2012年経営情報学会秋季全国大会(11/18金沢星稜大学)で報告をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述(研究実績の概要)の通り,先行研究の検討ならびにインタビュー調査などを実施し,理論と現実を照らし合わせながら,リサーチクエスチョンのさらなる明確化と理論的フレームの構築を進めることができた。国内外における学会報告などでのわれわれの成果の提示について他の研究者から一定の評価を得ることが出来たことも,研究の進展が順調である証左であると考える。また,組織の倫理化において「語らう」ことが実際に重要であることが明らかになり,それに伴い共同体主義の倫理学者マッキンタイヤ(McIyntire)やストーリーテリングの組織論のボイエ(Boje)など,重要な研究がさらに明確になったことは,次なる展開(本研究の主目的でもある)である「組織の倫理化はいかに可能か」の解の大きな手がかりの獲得でもあり,その点においても順調に進展していると言って良いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
実践,倫理といったこれまでのキーワードに加え,上述のごとく「語らう」つまり,ナラティヴやストーリーテリングといったキーワードにさらに着目をし,組織の倫理化が「いかなる語らい」「いかなる状況」において可能となるのかについて,先行研究(特に上述ボイエやそれら議論の背景にある研究,たとえばバルトなど)のさらなる吟味,そしてさらにインタビューによる実態調査(関東,九州の企業ならびに医療機関を予定。具体的に既に選定され,概ね実施に問題はない),国内外学会(組織学会,日本経営学会,Academy of Managementなどを予定)での情報収集などを通じてさらに進めて行きたいと考えている。昨年度までに組織の倫理の実際(本研究のひとつめのポイント)についてはだいぶ進展したゆえに,本年度においては,つぎなるポイント,すなわち本研究の主目的である「組織の倫理化はいかに可能か」についてさらに研究をすすめていきたい。研究成果については,論文投稿(日本経営学会など),学会報告(日本コミュニケーション研究者会議など)などを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
先行研究(文献)の収集に関わる物品費,国内外の学会への参加(報告を含む)やインタビュー調査のための旅費(前述),ならびに収集された情報を整理するための各種費用(当初昨年予定していたPCの購入,記録メディア購入,文字起こしなど)などへの使用を予定している。
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