研究課題/領域番号 |
24530427
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
佐々木 宏 立教大学, 経営学部, 教授 (80268482)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ダイナミック・ケイパビリティ / ソーシング戦略 / 空洞化 / イノベーション |
研究実績の概要 |
平成26年度は、下記の成果が得られた。 1. 学会報告と論文:本研究では、ダイナミック・ケイパビリティ(DC論)に理論的基礎を置き、震災前後で組織ケイパビリティがどのように変化したかを実証する。これまで行ってきた先行文献研究レビュー(842件)の成果を、「ダイナミック・ケイパビリティの実証研究とビブリオメトリックス分析」(日本情報経営学会第69回全国大会)として報告した。本報告では、これまでDC論の実証研究のテーマはIT、新商品開発、SCM、ソーシング戦略(アライアンス等)、ナレッジ・マネジメント関連などが注目されてきたことに着目し、各テーマごとの実証研究を包括的に調査し、各テーマにおける概念モデル、操作化の方法の特徴を詳細に分析した。その後、学会報告内容をフルペーパーにまとめ、掲載が決定している(現在、印刷中)。 2. テキストマイニング:1980年から2014年末までの新聞記事(4,067件)を抽出し、空洞化についての経営環境の推移を分析した。その結果、1980年以降、日本は延べ4回の空洞化の危機に見舞われてきたこと、自動車や電機などの製造業が特に大きな影響を受けたこと、今回は海外進出と国内回帰が混在し、複雑な戦略が必要とされたことが把握できた。 3. 企業サーベイ:1. 2.のレビューを踏まえ、アンケート項目を確定し、2014年10月に1,333社を対象にサーベイを実施し、488件の有効回答を得た。 4. データ分析:得られたデータに対し、企業を3つに分類し(国内に調達・生産・販売機能すべてをもつ企業、海外展開済み企業、海外展開無し企業)、ソーシング戦略と成果の相違を分析した。その結果、国内回帰で困難な状況を乗り切ろうとした企業群と、製造機能の空洞化に直面しながらも積極的に海外展開を行ってきた企業群の2タイプの存在が確認できた。 5. 学会への投稿と採択:4.の分析結果に対し、全国大会への報告が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、平成26年度に終了する予定であった本研究に対し、1年間の期間延長を認めていただいた。その理由は、震災後アベノミクス登場によって予想していなかった大きな経済変動が起き、企業の業績が安定するまで、サーベイ実施の時期を模索していたからである。本年度、3月の決算状況をみて、ようやくその時期が来たと考え、平成26年10月にアンケート調査を実施した(1,333社対象)。現在までに、ほぼデータ分析まで完了することができた。来年度(平成27年度)6月には、すでに学会報告が決まっており、その準備を行っているところである。学会報告の後、その際のコメントやディスカションを取り入れて、論文執筆・投稿を行う予定である。以上から、1年延長後のスケジュールにおいて、おおむね順調に推移していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度に当たる。これまでの成果を論文にまとめて公開することにしたい。 1. 学会報告:2015年度組織学会研究発表大会で、企業サーベイの分析結果を報告する(2015年6月予定)。 2. 論文投稿:現在フルペーパーの論文を準備中である。1.のディスカションを踏まえて改訂し、論文投稿を行い、これまでの成果を公表することにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査にかかわるサンプル数の変動によって、差額が生じた(最終的に1,333件の企業に対して実施)。
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次年度使用額の使用計画 |
データ分析と論文完成のためにかかる費用に充当することにしたい。
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