研究課題/領域番号 |
24530430
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中井 透 京都産業大学, 経営学部, 教授 (50237202)
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キーワード | 中小企業 / オーナーシップマネジメント / 事業承継 |
研究概要 |
本研究は、オーナーシップマネジメントの継続性を高めるための経営の変革に焦点を当て、特に財務論的な観点から効率的な事業承継がなされているかについて評価を行うことを目的としている。具体的には、まず、継続的に発展を遂げてきている企業で行われてきた経営の変革、特に財務管理、あるいは財務的な変革を調査し、特徴を探るとともに分類・整理を行う。次いで、事業承継された企業が、承継前の経営者によって蓄積された経営資源を毀損することなく有効活用して効率的な経営が行われているかという観点からの分析を行うものである。 全研究期間3年のうち2年目となる本年度においては、特に実態を把握することに注力し、オーナーシップマネジメントの継続性とそのための重要な機会である事業承継を考察対象として質問票調査を行った。具体的には、岡山県倉敷市及びその周辺の中小企業1,800社に対して質問票調査を実施し、658社(回収率36.7%)から回答を得た。調査結果のダイジェスト版を作成して、回答企業のうち調査結果を希望する企業に対して電子メールの添付ファイルで送付している。さらに、平成26年2月20日に倉敷芸文館において「事業承継セミナー」と題して調査結果を公表するとともに、研究代表者をファシリテーターに、調査対象企業の代表者2人と金融機関の担当者を交えてのパネルディスカッションを行っている。パネルディスカッション終了後に調査対象企業の代表者2人に対して、ヒアリング調査も行っている。 質問票調査によって得た量的データについては多様な方法による分析を検討中であり、したがってこの調査をもとにした論文は本年度には公表していない。最終年度に、学会での報告とともに公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた質問票調査を本年度中に実施し、単純集計及びクロス集計での分析を行うことができた。しかし、回収した量的データのさらなる分析が十分に行われていないこと、こうした分析をもとにした研究成果としての論文が公表に至っていないことが課題として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年6月8日に本研究の成果の一部を日本財務管理学会において報告予定である。こうした機会を可能な限り多く設けて、関連する研究者からの指摘、助言を得るための努力を行う。これらの指摘・助言を参考に、研究成果を纏めていく。加えて、この過程において、オーナー経営者との対話をさらに増やすことでテキストデータの蓄積にも引き続き注力していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は113,170円の次年度使用額が生じた。 この理由としては次の通り。質問票調査を実施した後に、インタビュー調査に応じてくれる企業(事業承継者)に対して訪問し、ヒアリングを行うための旅費を考慮に入れていた。しかし、質問票調査の日程がずれ込み、年度末が近づくにつれて訪問先企業との調整がつかず、一部の調査は電子メールで実施してきているものの、訪問調査は26年度に行わざるを得ない状況になったため。 次年度使用額は訪問調査等のための旅費を中心に充当したい。
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