研究課題/領域番号 |
24530431
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
西尾 久美子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90437450)
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研究分担者 |
川端 勇樹 中京大学, 経営学部, 准教授 (00614702)
坂本 理郎 大手前大学, 現代社会学部, 講師 (40449864)
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キーワード | 人材育成 / 事業システム / 地域基幹産業 / 技能形成 / キャリア / 造船 |
研究概要 |
平成25年度は、先行研究のレビューを関連する分野(経営学、社会学や教育学、造船工学)を広げて丹念に行い、本研究の学術的意義を確認し分析の枠組みを掘り下げた。また、先行研究のレビューをふまえて、若手や中堅人材の技能獲得のプロセスとoff-JTやOJTとの関係、技能獲得を個人がどのように意味付けて今後のキャリア形成における個人の成長につながるのか、さらに人材育成と事業システムの関連性に関して、概念的定義および操作定義の再検討をした。また、平成24年度の調査で得たインタビューや参加観察のデータについて、分析を行った。 平成25年度の調査に関しては、九州地域の技能研修センターの立ちあげの経緯について、当時の関係者にインタビュー調査を行った。さらに中小企業が連携して人材育成を実施している大分地域の技能センターで人材育成の拠点であるセンターの事務局機能を担う自治体の関係者、技能センターの校長や研修の指導員、研修生を送りだす複数の企業の経営幹部や人材育成担当者に、研修を通じて獲得された技能や人材育成の組織への効果に関してインビュー調査を行い、複数の技能センターの比較研究のためのデータを収集した。 平成24年度から調査を継続している因島技術センターの事例、平成25年度に調査を実施した今治技能センターの事例をもとに、企業の規模や造船関連事業の内容が異なっても、人材育成という共通の目的のもとに地域の中小事業者が連携し、指導員を社内から派遣、運営に関して地方公共団体や造船関連の業界団体の支援を積極的に得て継続的な仕組みとして構築していること、それが地域の技能レベルを維持・向上させ、地域の競争力につながっているという発見事実を明らかにした。 また、平成25年度の調査結果から今治の技能センターの事例をとりあげ、研究成果について海外の学会で報告し、広く海外の研究者と意見交換をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では4つの目的を設定しているが、平成25年度はこれらのうち3つについて、順調に研究を進めることができた。したがって、おおむね研究は順調に進展していると評価する。 具体的には、地域基幹産業における人材育成の取組事例である因島技術センターの研修の参与観察調査や研修の指導員、受講生、研修を当初計画した関係者などの調査結果を分析し、ライバル関係にある中小企業が人材育成のために連携することが、結果として個々の企業の競争力につながっていることを明らかにした。 次に、2点目の目的である技能研修を修了した研修生たちのその後のキャリア形成については、因島地区の複数の企業の協力のもと、研修を修了した複数の若手から中堅の社員や指導関係者にインタビューを行い、担当職務に応じた技能研修の効果に関するデータを取集し分析することができた。技能研修をうけた若手従業員の定着率が上がっていることなど、因島地域の企業から現状について具体的な効果について考察できるデータを得られたことは、非常に大きな成果であった。 3点目の目的である、国内の他の複数地域の技術センターの研修内容とそれぞれの地域の現場で実施されている技能形成の実状の把握については、大分地域のセンターの現地調査を行い、これらのセンターの運営にかかわる複数の中核企業の技能育成に関する責任者や研修の講師、また地方公共団体の運営関係者などにインタビュー調査を実施することができた。当初予定した以上に順調に、調査対象のセンターを増やしかつ資料提供や調査への協力を得ることができ、複数事例の比較研究のために大きな進展があった。 ただ、4つ目の目的とした海外の新興国の造船業の事例調査については、本年度は情報収集はできたが、調査を予定していた中国や韓国と日本との国際的な関係の情勢もあり、実際に現場に赴くことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、以下の3点について研究を推進していく予定である。因島技術センターは平成24年度から実施している調査で得られたデータおよび分析結果に加え、他の地域の技術センターの調査結果を踏まえて、因島地域における造船業に修業する若手従業員の技能獲得のプロセスを、より詳細に明らかにする。特に因島技術センターが他の地域のセンターに及ぼした影響について考察を深める。次に、今年度は東日本等の技術センターに調査を実施し、国内複数地域の基幹産業の造船業に修業する若手従業員の技能獲得のプロセスと技能形成と企業の生産性との関連性について、複数事例の比較検討を行う。また、海外の造船業の関する調査については、当初予定していた東南アジア諸国に限定せず、継続的に造船業を実施している諸外国を調査先として、技能形成や実施されている人材育成制度の実態、それらが生産性に寄与しているのか等調査する。これらの調査結果をもとに、地域基幹産業の人材育成と事業システムについて、明らかにしてく予定である。 平成26年度の研究費の使用計画としては、まず、調査のための旅費が挙げられる。具体的には、国内の調査地域として、新しく東日本の技術センター、継続的に調査協力が得られている地域の技術センターへの追加調査の実施するための旅費である。さらに、海外の地域基幹産業の人材育成の実状を調査するための旅費への使用も計画している。また、研究成果をまとめて国内外の学会で発表することも予定しており、そのための旅費にも使用する予定である。また、収集した資料やインタビューデータの入力等の作業のための謝金、造船に関する専門家や人材育成の実状に詳しい専門家への調査協力の謝金への使用、継続的な先行研究のレビューのための図書や、データ分析のためのソフトや記録のための電子機器などを購入するために、物品費への使用も計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していた海外調査を、国際情勢の関係から実施しなかっため。 平成26年度は海外調査対象先を広げて、実施を予定している。
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