研究課題/領域番号 |
24530435
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
井戸田 博樹 近畿大学, 経済学部, 教授 (10352957)
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研究分担者 |
文能 照之 近畿大学, 経営学部, 教授 (30388491)
辻 正次 兵庫県立大学, その他の研究科, 教授 (90029918)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / イノベーション / ソーシャルキャピタル / 組織学習 / 吸収能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ソーシャルメディアが、日本企業のイノベーションにいかに寄与しているかを解明することにある。それにより、ソーシャルメディアを今後の企業イノベーション戦略にどのように活用すべきかについて提言する。また日本企業のイノベーションの活性化を支援するICT活用政策についても提言する。今年度も引き続き、以下の3つの観点から研究を行った。1.ソーシャルメディアを含むICTの利活用による企業イノベーションの促進要因分析、2.ソーシャルメディアのビジネス利用に関するアンケートデータによる実証分析、3.ソーシャルメディアのビジネス利用における情報倫理研究 1.社内でのソーシャルメディアの活用が、プロダクトイノベーションを促進する要因の一つになることを検証した。ただし、ソーシャルメディア活用が、プロダクトイノベーションに結びつくには、メンバー間にソーシャルキャピタルが醸成されている必要があることも併せて判明した。【図書1】また、ソーシャルメディアを用いてプロダクトイノベーションを成功させている企業は、商品開発担当者が顧客と協力して顧客ニーズに合わせた商品開発を行っていることが解明した。【図書4】この他に、ICTの利用効果が高い日本の中小企業がオープンイノベーションを成功させていること【論文4】、経営者層の理解や従業員のモチベーションがICT利用の効果を高め、ICTがイノベーション能力を高めたり、外部組織とのリンケージを促進することでプロダクトイノベーションを成功させていることを明らかにした。【図書2】 2.ソーシャルメディアのビジネス利用の効果には、顧客ニーズの把握、リードユーザとの共同開発、販売促進などがあることを検証した。【論文3】 3.ソーシャルメディアのビジネス利用における情報倫理課題について、欧米の事例と比較し、日本のケースの特徴について発表した。【国際学会発表2】
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査、インタビュー調査、ソーシャルメディア活用やイノベーションに関する各種研究会に参加することにより、情報を収集した。また、アンケート調査に基づくデータ解析を行った。 それにより、国際学会で、ソーシャルメディアの利活用やICTを用いたイノベーションに関する一連の研究成果を報告できた。【論文5本、国際学会発表6件、図書4冊】
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、日本企業を対象としたインタビュー調査を実施する。日本でもソーシャルメディアを利用する企業が増加している。そのなかには、ビックデータ化するソーシャルメディアデータを分析し、商品開発などに役立てている先進的な企業もある。このような状況を踏まえ、先進企業と十分に活用できていない企業には、どのようなビジネス活動上の差があるのか比較研究したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査から、より深く実態を把握する目的で企業へのインタビュー調査に切り替えたが、一部の企業で担当者との日程が調整できず、未使用金額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用金額と次年度分に請求した助成金は、文献購読代金、企業インタビューおよび学会発表に伴う諸経費として使用する計画である。
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