研究課題/領域番号 |
24530444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
内田 保雄 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 教授 (70321487)
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研究分担者 |
松野 成悟 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 教授 (30290795)
坂本 眞人 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50196101)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中小企業 / クラウド |
研究概要 |
まず、クラウドシステムの企業への適用および中小企業における情報基盤に関するこれまでの研究蓄積、および最新の動向を体系的に整理した。この作業は、①文献研究をおこなう、②先進的な取り組みをおこなっている中小企業の事例を調査する、という方法により進めた。①については、クラウドシステムおよび中小企業における情報戦基盤に関する主要な文献のサーベイとレビューをおこなった。とくにクラウドシステムの利用を強力に推進している欧米の文献のサーベイに注力した。そして、欧米での先進的な事例が日本に応用可能かどうかについても検討した。具体的には、たとえば米国ReliableAdaptive Distributed Systems Laboratory(RAD Lab)がまとめた「クラウドコンピューティングに関する研究」などを中心として、サービスの可用性、データの囲い込み、データの機密性と監査性など10項目のクラウドコンピューティングの課題について調査・検討をおこなった。また②については、クラウドシステムの導入を積極的に推進している中小企業あるいは中小企業の情報化を支援している公共機関などについて事例研究をおこなった。そこでは、さまざまなクラウドシステム構築の事例から、その効果や問題点を考察した。その際には、独立行政法人情報処理推進機構による「クラウド・コンピューティング社会の基盤に関する研究会」報告書あるいは「中小企業等におけるクラウドの利用に関する実態調査」などを参考にして分析を進めた。これらの調査研究は研究代表者を中心としておこない、研究分担者もその一翼を担い、情報蒐集やデータ分析作業などを分担した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラウドシステムの企業への適用および中小企業における情報基盤に関するこれまでの研究蓄積、および最新の動向の整理はほぼ完了した。中小企業における情報戦基盤に関する主要な文献のサーベイとレビューについてもおおむね完了した。「クラウドコンピューティングに関する研究」などを中心として、サービスの可用性、データの囲い込み、データの機密性と監査性など10項目のクラウドコンピューティングの課題についても検討をおこなうことができた。クラウドシステムの導入を積極的に推進している中小企業あるいは中小企業の情報化を支援している公共機関などについての事例研究もおおむね完了した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究調査およびその分析と考察にもとづいて、クラウドシステムの企画・設計の作業に入る。このフェーズでは、全研究者でシステムの仕様について、分析・検討を重ねることにより、仕様を確定していく。システムの骨格やユーザ・インタフェースなど、本システムの基本構想は研究代表者が中心となって立案し、研究分担者は経営情報システム的な側面およびネットワーク技術・情報技術をフォローする。また、研究分担者は、本システムが幅広い分野の業務に適用できるように経営情報論および情報工学等の立場から検討を加える。そして、システムの設計・開発に取り組む。ここでは、中小企業に適合的なシステムのモデルを考案し、プロタイプとして実装する。まずはじめに、Google AppsやAmazon ECのような既存の代表的なクラウドシステムについて優劣を比較・検討する。また、システムの基盤となる仮想化技術について比較・検討する。実際のハードウェアを完全にエミュレートするのではなく、仮想マシン環境のための仮想的なハードウェアを提供することによって実現する「準仮想化」と仮想化支援機能を有するCPUを用いて、実際のハードウェアを完全にエミュレートする「完全仮想化」との優劣について検討する。 続いて、クラウドシステムサービスの形態に対応させて、SaaS(Software as a Service:機能がネットワークを介して提供される)、PaaS(Platform as a Service:アプリケーションの開発環境、カスタマイゼーション機能がネットワークを介して提供される)、IaaS(Infrastructure as a Service:仮想マシンやOSもネットワークを介して提供される)という観点から3つのサブシステムとしての構成を設計する。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文の投稿が若干遅れたため次年度で支払いを行なうことにした。なお、他の研究費の使用計画についての影響はない。
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