研究課題/領域番号 |
24530446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 美弥子 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30333587)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マンガビジネス / ビジネスシステム / グローバル / 事業間シナジー |
研究概要 |
本研究の目的は,日本のマンガビジネスの(1)本国である日本と進出国の事業間調整の特徴を明らかにした上で,(2)国内市場も含めた国際市場全体,つまり国際展開におけるシナジーを生み出すグローバル戦略を明らかにしていくことである. 当該年度に実施したのは,二次資料および聴き取り調査にもとづき,上記の(1)を解明することである.マンガビジネスの環境に関しては,2000年前後を境に,①インターネットの普及に伴うメディアの多様化,②コンテンツとしての事業領域の拡大,③国内外における著作権保護活動の活発化という変化がみられる.これらを踏まえた上で,2000年以降のマンガビジネスのグローバル展開に関して,二次資料を渉猟するとともに,具体的な活動に関しては,関連する企業への聴き取り調査を行った. 調査の結果,マンガビジネスのグローバル展開は,事業や企業規模により進捗状況や課題が多様であることが明らかになった.コミック事業に関しては,大手出版社は海外子会社を設立,または進出国の出版社を買収し,国内事業との連携が取りやすい方法を選択している.一方,中小の出版社は,資金や人員,情報の不足,および海外事業のリスクを考慮し,国内大手の取次会社や海外の出版社の翻訳出版事業を利用するケースが多い.アニメ事業に関しては,ごく一部の大手プロダクションを除けば,積極的に海外事業を行っておらず,国内で放映されたテレビアニメの二次利用に留まる企業がほとんどである.したがって,アニメ事業において,国内外の事業間で連携が取られているのは,最初からグローバル展開を想定した作品あるいは,国内事業において,大手の出版社とアニメプロダクションが手がけた作品に限られている.つまり,経営資源の多寡や海外事業の経験などによって,マンガビジネスのグローバル展開には複数のパターンが存在するという仮説が導出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は,コミックとアニメ事業に関する調査および分析はほぼ計画に沿って実施できた.ただし,キャラクター商品事業に関する調査が十分に実施できなかったため,キャラクター商品事業および3つの事業間関係に関する分析は来年度に延期せざるを得ない状況である.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,まず,平成24年度に実施できなかったキャラクター商品事業およにコミックとアニメ事業も含めたマンガビジネスの事業間の調整に関する調査および分析を行う. 次に,当初の計画に沿って,米国と中国,韓国における日本のマンガビジネスの実態を現地で調査し,コミックとアニメ,キャラクター商品事業を担う日本企業の海外事業担当者およびそれらの日本企業と取引を行っている現地企業へ,各国での事業展開に関する詳細な聴き取り調査を実施する.国ごとの調査結果は,ディスカッションペーパーにまとめ,学会で報告する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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