研究課題/領域番号 |
24530451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑嶋 健一 東京大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50313086)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 製品開発 / 機能性化学 |
研究概要 |
本研究の目的は、近年日本が国際競争力を発揮している機能性化学産業における製品開発システムの形成過程を明らかにすることにある。分析アプローチとしては、歴史的視点によるケース・ベースの実証分析を採用する。その際、1)「競争力を持つプロセス産業」と「競争力を持つ組立産業」とで、製品開発システムの形成過程にどのような共通点や相違点があるのかを考察するために、機能性化学品と自動車を中心とした日本が国際競争力を持つ組立系の製品・産業とを比較する。また、2)同じプロセス産業において競争力を持つ製品群とそうでない製品群とを比較するために、機能性化学品と汎用化学品、医薬品等の比較を行う。 研究目的の達成に向けて、本年度は、日本の大手総合化学企業を中心とした複数の企業を対象として、ヒアリング調査、文献調査を行った。総合化学企業は汎用化学品と機能性化学品の両方を手がけていることから、同一企業内においていかに2つの製品開発システムが形成されたのかは興味深い論点であり、現在分析を進めている。また本年度は、比較対象産業の1つである製薬企業の調査も行った。日本における新薬開発のケース分析を通して、同産業における製品開発システムの形成過程の分析を進めている。 本年度は、研究全体の土台作りにあたるため、体系的な分析や成果のとりまとめはまだ行っていないが、本研究で得た知見の一部については、学会で発表するとともに、学術論文としても発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点での達成度は、ほぼ当初の計画通りである。機能性化学企業を対象とした調査に関しては、事例の掘り下げについては当初予定していたレベルまでの調査は実施できなかったが、その代わりに、調査の範囲に関しては、2年目に予定していた総合化学企業に対する調査を前倒しで行った。これは、調査対象企業に協力いただけるタイミングを優先したことによるものである。全体としてみれば、調査の順番が一部入れ替わっただけで、研究計画の実施自体には全く影響が無いので、研究計画の達成度評価としては、ほぼ当初の予定通りに進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、昨年度、土台作りのために行った調査を基礎として、機能性化学企業、総合化学企業(機能性化学部門・汎用化学部門)の製品開発システム・レベル、企業・事業戦略レベルの調査を行い、ケース作成に取り組む。本研究のように、歴史的視点を踏まえた詳細なケース作成には多大な時間がかかる。本研究計画では、2年目(次年度)までに必要な情報を集め、詳細ケースとショートケースとに区別しながら、調査対象についてのケースを書き始める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、当初の計画に則して、以下の項目で使用する予定である。1.デスクトップ・パソコン:ケース、論文執筆用、2.ノート・パソコン:フィールド調査におけるメモ作成用、3.パソコンソフト:マイクロソフト・オフィス、ウイルス対策ソフトなど、4.プリンタ:研究成果の印刷用、5.交通費:企業へのインタビュー調査(国内旅費)、6.図書費:分析対象企業や関連企業の資料・社史(1冊数万円~10万円程度)、経営学関連図書、化学業界関連図書、7.人件費・謝金:研究補助(資料整理)、8.その他:コピー費(外部図書館等における資料のコピーなど)、および英文校閲費(海外ジャーナル投稿用)など。
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