研究課題/領域番号 |
24530453
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
延岡 健太郎 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (90263409)
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キーワード | 意味的価値 / 顧客価値 / 生産財企業 / 価値づくり |
研究概要 |
平成25年度は、意味的価値を創出するためのメカニズムと、それを達成するマネジメントについて、具体的に、理論化および実証することが最大の目的であり、それがおおむね実現できた。特に、生産財における意味的価値に関する顧客価値の中身について具体的に解明できた事が最大の成果であり、内容は「生産財における真の顧客志向」のタイトルで一橋ビジネスレビューに掲載した。 生産財における顧客価値は、経済性と潜在性の2つの要因で構成されることがわかった。つまり、まず最初に、顧客価値の中心は、生産財によってもたらされる経済的な価値である。顧客が企業である限り、特定の生産財企業から商品やサービスを購入する最大の目的は、それによって、企業の業績が高まることである。つまり、顧客企業が購入する部品などの商品によってコスト削減や販売増加が実現できてこそ顧客価値は高い。 次に、経済的なニーズに対応するのではなく、顧客の潜在ニーズに対応した商品の方が顧客価値は高い。つまり、同じような経済的な価値をもたらす商品であっても、顧客企業から要望された商品を提供するのではなく、経済的価値の創出方法も含めて顧客が気付いていない商品を提案する場合に、顧客価値は高くなる。 これらの理論的な枠組みに対して、「生産財における真の顧客志向」の論文でも、キーエンスの事例を活用して、実務に役立つ議論が展開できたが、更には、シーメンスの研究において、顧客価値の内容をさらに具体的に議論する事ができた。その内容は、「ビジネスケース シーメンス」(一橋ビジネスレビュー)に掲載した。 意味的価値の内容が明らかになり、さらにそれを支えるのが組織能力であるが、それらのロジックと実証データが一段と明確になったことが、平成25年度の最大の実績である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、意味的価値を創出するためのメカニズムと、それを達成するマネジメントについて、具体的に、理論化および実証することが最大の目的であり、それがおおむね実現できた。特に、生産財における意味的価値の内容が明らかになり、それを実現するための組織能力についても、具体的な事例が記述できたことが大きい。理論と実証の両面において、平成25年度までの目標は、順調に達成されて来た。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から、意味的価値と組織能力の中身を深堀する事が、極めて重要なリサーチクエスチョンであることがわかった。これによって、計画している質問票調査についても、内容を吟味する必要が生じている。単純な質問票調査では、十分に解明できないので、平成26年度は、なるべく多くのサンプル企業のデータを収集することを目指しながらも、直接、企業を訪問して、詳しい内容を聞き取り調査する。それによって、単純な質問票調査よりも有意義な結果が得られると考える。 また、消費財の意味的価値においては、デザインの概念を定義して、議論する事の重要性を多くの企業で指摘された。これまでの概念的なフレームワークには入っていなかったが、必須な概念なので、平成26年度は、デザインに関する理論とコンセプトの深堀も同時に実施する事を決定した。デザインの概念は意味的価値の概念内で実施するので、本研究計画全体のオリジナルに大きな影響がでるものではない。
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次年度の研究費の使用計画 |
最大の理由は、Apple Mac Book Airの新型が、導入される事を予測し、その購入を計画したが、平成26年度にずれ込んだため、他の劣ったものを購入するのではなく、次年度使用とすることにした。この購入の遅延は、研究の遂行においては、大きな問題にはならないように対処した。 Apple Mac Book Airの新型が、平成26年度に導入され次第、購入する。
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