研究課題/領域番号 |
24530454
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
島貫 智行 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (40454251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経営学 / 人的資源管理 / 雇用 / 労働市場 / 境界 |
研究実績の概要 |
研究4年目となる平成27年度は、雇用の境界の設計に影響を与えると考えられる要因として、本社人事部門の影響力に注目し検討を行なった。雇用の境界と人事管理に関する文献サーベイの結果、雇用の境界を左右する重要な要因として本社人事部門の影響力があることが推察された。先行研究を踏まえて、人事部門の影響力については、経営上の重要な意思決定における人事部門と経営企画部門、財務部門などの本社職能部門間の影響力の大小として捉えることとし、その代理指標として取締役会における人事担当役員、経営企画担当役員、財務担当役員等の比率を取り上げた。1990年から2015年までの『役員四季報』を用いて、日本の上場企業の取締役に関するパネルデータを作成し、人事・経営企画・財務担当役員の人数比率やこれら3職能の役員がいる企業比率を算出し、過去25年間の変化を検討した。 また、このパネルデータの分析を補完するために、上場企業の人事部門を対象とした質問票調査を実施した。質問票調査では、経営上の意思決定における人事部門の影響力に加えて、企業内の人事管理機能(採用や異動、評価など)についての人事部門と現場(事業部やラインマネジャーなど)の影響力関係を把握した。さらに、人事部門の影響力は当該企業の組織構造にも影響を受けると考えられたため、過去10年間の人事部門の組織構造の変化を検討するために必要な資料収集を行なった。こうした人事部門の影響力の変化に関する研究成果は、平成28年度に国内外で学会報告を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度から27年度にかけて雇用の境界と人事管理に関する文献サーベイを実施し、企業が正規社員と非正規社員、外部人材(労働者派遣や業務請負)の活用を規定する要因を検討するとともに、雇用の境界と人事管理による非正規社員や外部人材の仕事・労働条件、働き方への影響について整理を行なってきた。また、文献サーベイを通じて、従来あまり検討されてこなかった要因として、本社人事部門の影響力があることが推察され、平成27年度は本社人事部門の影響力に関するデータベースの整備と分析、さらにこれを補完する質問票調査や資料収集を進めてきた。最終年度となる平成28年度はこれまでの分析結果を取りまとめる予定であり、それに向けた準備が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度から27年度にかけて実施してきた文献サーベイとデータ整備を踏まえて、平成28年度も日本企業の非正規社員と外部人材(労働者派遣や業務請負)の活用における現状と課題、そうした人材活用が労働者に与える影響等について引続き分析を行う予定である。また、平成28年度は最終年度にあたることから、これまでの分析結果のとりまとめを中心に行なう予定である。
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