本研究は、日本企業における正規社員と非正規社員の人材活用の組合せやそれが従業員に与える影響について、雇用の境界という観点から検討した。雇用の境界とは、正規社員の 人材活用と非正規社員の人材活用の接合部分を意味し、正規社員と非正規社員の間の仕事の類似性や、非正規社員から正規社員への移行可能性などから捉えられる。本研究の分析結果によれば、長期雇用や内部育成、成果主義的評価・処遇にはいずれも正規社員のモラールを高める効果があるが、その効果は境界の設計により調整されることが示された。今後は正規社員と非正規社員それぞれの人材活用だけでなく、雇用の境界のような人材活用の相互関係を捉える研究が必要である。
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