研究実績の概要 |
日本ではひとつの企業の枠を超えた職業教育・訓練の構築、特にキャリア教育による若年者のエンプロイアビリティとキーコンピテンシーの開発が緊急課題である。本研究では第1に、日欧の高等教育機関のキャリア教育によるエンプロイアビリティとキーコンピテンシーの開発の現状と課題を検討した。研究成果の一部は、著書二神枝保ほか『ガイダンス現代経営学』(中央経済社、2015年)およびShiho Futagami et al.Economic Integration in Asia(Palgrave Macmillan、2014)にまとめた。現在では、企業のみならず、政府や高等教育機関との連携を視野に含んだ職業教育・訓練が不可欠であるが、その意味でヨーロッパの大学のキャリア教育、産官学連携の実情等を調査し、エンプロイアビリティ、キーコンピテンシーの開発を比較する本研究は、日本にとって示唆に富む。第2に、日欧企業の従業員と人事担当者への調査を実施し、職業教育・訓練の実証分析・日欧比較を行った。その結果、学術論文Shiho Futagami et al.'Differences in Initial Training and Wages of Japanese Engineering and Retailing Companies’(International Journal of Management Research and Business Strategy, Vol.3, Issue1, pp.61-76,2014)および Shiho Futagami et al.‘Tournament Structures in Japan and the U.S’(Management and Organizational Studies,Vol.1, No.1, pp. 63-71、2014)にまとめた。第3に、Decent work(働きがいのある人間らしい仕事)の視点からも若年者のエンプロイアビリティとキーコンピテンシーの開発を検討した。その結果、学術論文二神枝保「雇用・人材開発システムの日欧比較」(『しごと能力研究』第2号,pp.123-148, 2014)にまとめた。ディーセント・ワークの視点からこれらを分析する研究は、これまでにはない、オリジナリティの高い研究であり、国際的に貢献できる。
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