研究課題/領域番号 |
24530458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
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研究分担者 |
朴 唯新 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 准教授 (20435457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スマートフォン / 日本 / 韓国 / コンポーネントモデル / 標準化ポジショニング |
研究概要 |
本研究の目的は、スマートフォン市場における協調・競争ネットワークの動態的生成と構造化、アライアンスネットワークにおける情報家電企業の戦略行動のダイナミズムを明らかにすることにある。平成24年度の研究計画として、理論レビュー・分析枠組みの構築、テキストマイニングと社会ネットワーク分析によるスマートフォン企業の特許ネットワークの現状分析、スマートフォン企業の標準化戦略の国際比較等をあげている。具体的に、理論レビューや、スマートフォン企業の現状把握及び標準化戦略の国際比較を進めてきた。 当該年度の研究実績は以下の通りである。Masashi Ueda, Yousin Park, and Yunju Chen (2012)は、日本と韓国のスマートフォンの普及パターンを明らかにしたうえで、コンポーネントモデルを構築し、それに基づきスマートフォン企業の標準化戦略の傾向を探った。具体的に、①日本と韓国の普及パターンが異なる。日本は従来の携帯電話産業の経路依存性により、スマートフォンの普及は韓国より遅く、端末メーカーの一斉開発により普及を牽引した。②日本端末メーカーの標準化ポジショニングは明確ではないのに対し、韓国端末メーカーは部品などの下位レイヤーで位置を取りながら上位レイヤーにアプローチ傾向がある。 実態調査として、陳・朴による日韓スマートフォン市場の調査(2013年1月)がある。調査では、韓国スマートフォン市場・メーカーの動向、特徴、日韓企業の競争優位を聞き取った。日本端末メーカーは戦略を打ち出せないまま今も競争劣位にいるが、部品メーカーは世界で優位に立ち続けている。韓国が日本との競争優位の差を開いたのは政策の牽引だけでなく、グーグルとの連携関係がカギとなっていることも明らかになった。 総じて、当該年度を通して、スマートフォン企業の競争優位構築プロセスへの予備的な考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の3つの研究計画はほぼ予定通りに実施した。①理論レビュー・分析枠組みの構築という計画は現在進行中であり、分析枠組みはコンポーネントモデルなどを取り上げ修正も行う予定である。②テキストマイニングと社会ネットワーク分析によるスマートフォン企業の現状分析という計画では、会社四季報の企業情報や、Patent Integration社の特許検索サービス等を利用し特許データベースの構築と分析を進めている。③スマートフォン企業の標準化戦略の国際比較という計画においては、調査により日本と韓国スマートフォン市場/企業の実態、戦略等を把握した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策について、日本スマートフォン企業の戦略の不在によるインタビュー調査が困難であることから、今後スマートフォン企業の競争優位構築プロセスを分析していくのに、テキストマイニングと社会ネットワーク分析といった定量分析の手法に重心を置く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究計画として、①理論レビュー・分析枠組みの構築を引き続き行う。②テキストマイニングと社会ネットワーク分析によるスマートフォン企業の現状分析においては、韓国のSamsung/LG、台湾のHTCのデータ構築を行う。また、各社における米国の特許ネットワークの現状についてテキストマイニングと社会ネットワーク分析を試み、ネットワークの動態変化を捉える。③スマートフォン企業の標準化戦略の国際比較に関しては、日本情報家電各社の調査を実施しつつ、韓国の研究協力者の協力でSamsung、 LGの聞き取り調査を行う予定である。そのほか、この年度からゲーム理論による解析を開始し、研究成果の学会発表を積極的に行っていく。
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