研究概要 |
岡山県内の10社の地方立地のオンリーワン型企業の事例研究を行った結果を踏まえ、以下のような考察を行っているところである。オンリーワン型企業, クラスター, 系列取引の位置づけは, 市場と階層組織を両極に置いた直線上では, 系列取引は階層組織に近くなる。クラスター内の中小企業が競争優位および調達・販売を立地に依存すならば, 系列よりは緩やかな疑似内部化組織に組み込まれていると言えよう。系列企業でないオンリーワン型企業は, より「市場」に近く位置づけられる。特徴としては, ユニークなポジションからスタートした企業であっても, そのポジションに安住することなく競争優位をもたらす経営資源を企業内部に蓄積している。仮の話として経営者に聞いたところ, 現在の立地から離れても, 困らないという回答が多かった。すなわちあまり立地の重要性は大きくないようである。調査から次の3点が重要点であった。①中間財を取り扱うオンリーワン型企業であっても自社の製品はモジュールとして, 製品アーキテクチャのインターフェイスをさほど気にかけることなく性能や品質を向上させていた。②中小企業の限られた経営資源を節約するような方法を用いて, 全国の市場をカバーしている。輸出や海外生産を行っている企業もある。③大企業が攻勢をかけるのではなく, 手放すような分野を手掛けることが重要となる。事前にどのような分野がそうであるかを知ることはなかなか困難であるが, 個々の大企業が内製するとコストが高くつく場合, 一つの中小企業が一手に引き受ければ規模の経済が働き, 調達コストも下がることが考えられる。以上のような事例から, 地方の中小企業の成長のヒントを得ることができると考えられる。また研究分担社は、中国の企業を調査を行っているので、その成果を統合していきたい。
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