研究課題
本研究科題に沿って、地方立地、とりわけ岡山県に本社があるオンリーワン型中小企業10社に対してヒアリング調査を行い、以下のような知見を得ることができた。(1)あるセグメントで高い製品シェアを有するので、規模の経済が働く。(2)大企業の系列企業ではなく、株式非公開の独立系中小企業であるので、多様な企業との取引が行いやすい。(3)そのセグメントでは高いシェアを有するので、情報が集まりやすい。(4)研究開発を重視、(5)開発力ばかりではなく高い生産技術がある。(6) 挑戦的な社風。また、オンリーワン型企業へとなったプロセスとして、(1)創業からオンリーワン型、(2)競争抜け出し型、(3)後発型、に分類することができた。(1)創業からオンリーワン型とは、創業者の発明、輸入品の国産化、供給依頼による開発などがあった。(2)競争抜け出し型には、大企業の撤退によるものと、同業他社との競合に勝つタイプに分類できた。地方立地に関しては、自社の製品サービスを向上させる際に、納品先と「摺り合わせ」を行わなくても、自社内の努力で可能なケースが多かった。販売に関しては、自ら販売網を構築するのではなく、代理店や他組織を活用して、経営資源の節約やリスクの削減を特に意識している企業もみられた。オンリーワン型中小企業は、国内市場の地位は、善循環によりますます強くなっている一方で、市場の成熟化が課題になっていて、海外市場へ活路を見出す企業も多い。そのなかで、中小企業がゆえに海外市場での操業が困難さが予測され、これらの対応が経営学上の研究課題でもある。研究協力者が、中国企業に関して調査を行っており、成長期企業は成熟期企業より、革新の志向性が高いが、成長期企業の企業家も成熟期企業の企業家もどちらも共存を好み、破壊的な競争を避ける割合が高いという特徴を見出しているが、企業家行動の対比も次の課題である。
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Discussion Paper Series, No.60, Economic Research Society of Sophia University
巻: 60 ページ: 1-12
岡山大学経済学会雑誌
巻: 46-2 ページ: 147-155