企業家活動的キャリア戦略は、イノベーションを生み出し,地域経済へ貢献することを期待され,注目を集めてきた。その一方で技術や知識を起点に事業創造するまでの組織化の過程や企業としての成果や節目までの道筋は十分に明らかにされてこなかった。本研究は,企業家たちのねらいとその帰結の問題について,長期間の複数ケーススタディを実施した。その結果,彼らの活動が「革新者型」と「再生産者型」の経営志向性に分かれるのかが明らかになった。企業家のキャリア戦略は,経済合理性によってのみで決まるのではない。強い感情的な結びつきである社会情念的資産の論理に基づく相互作用の結果でもある,という含意が導き出される。
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