研究課題/領域番号 |
24530469
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
上野 恭裕 関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ファミリービジネス / 伝統産業 / 事業承継 / 中小企業 / 新事業開発 / ネットワーク / 経営理念 |
研究実績の概要 |
今年度は主にこれまでの研究成果の公表を中心にしながら,さらに研究の発展を見据えたネットワークの構築に努めた。 2014年6月にはファミリービジネスの代表的な国際学会であるThe International Family Enterprise Research Academy (IFERA)に参加して,ファミリービジネスに関する情報交換を行うと同時に,各国の研究者と協力し,アジアにおいてファミリービジネスに関する学会を開催することについて協議した。 2014年9月には第9回アジア経営管理学術大会において,ファミリービジネスのネットワーク組織である機械工具商の事例について,「ネットワーク組織の持続的成長-機械器具卸商協同組合の事例-」というタイトルで報告を行った。 2014年11月には東京大学で開催された日本ベンチャー学会において,日本のファミリービジネスの新事業開発についての研究発表を行った。ファミリービジネスの特徴を生かし,2代目経営者が先代が起こした事業を引き継ぎ,自己のネットワークを活用した新事業開発を行うことにより,継続発展させている事例を報告し,ファミリービジネスにおけるネットワークの重要性を明らかにすることができた。 2015年2月には,IFERAで交流を深めたインドの研究者の依頼により,インド・ハイデラバードにおいて開催された第5回アジア・ファミリービジネス・招待学会(Fifth Asian Invitational Conference on Family Business)において日本のファミリービジネスの永続性に関する招待講演「Family Business in Japan」を行った。そこでは日本の長寿ファミリー企業が,明確な経営理念のもと,様々な利害関係者の利害を調整することにより,長期の存続・成長・発展を図っていることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本のファミリービジネスの実態を伝統産業,中小企業,ネットワーク,事業承継,新事業開発といった観点から明らかにすると同時に,そのようなファミリービジネスを韓国,イギリス,スウェーデン,ドイツの企業と比較することにより,日本のファミリービジネスの競争優位性をある程度明らかにすることができた。しかしながら,ヨーロッパの他の国々の長寿ファミリー企業の調査が不十分であり,今後,更なる調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はオランダやスイスなど,長寿ファミリー企業が多く存在するヨーロッパの国々における調査を継続し,本研究で得られた仮説を検証し,発見事実の普遍性を高めていく。また本研究で得られた研究成果を国際学会等で公表し,広く議論を展開すると同時に,論文や書籍の形にまとめることで成果を公表し,さらに研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
オランダのファミリー企業へのインタビューを計画していたが,訪問調査の日程調整がうまくいかず,2015年度に延期になったため,海外旅費に次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度に予定していたオランダにおけるファミリー企業への訪問調査を2015年5月に実施する。また合わせて,研究成果の公表を行うために,スイスで開催される学会に参加を予定している。
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