研究課題/領域番号 |
24530473
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
山本 寛 青山学院大学, 経営学部, 教授 (30240120)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | employability |
研究実績の概要 |
以下2編の研究論文(単著)を出版した。 1.An Empirical Study of Employability Security from Perspectives other than Training and Development. Aoyama Journal of Business, 50(2), pp.225-244(2015/9)。民間企業正社員への質問票調査の結果、社員の自律性を重視するような組織によるキャリア開発は、社員の内的エンプロイアビリティ(組織内で評価の高さを通して組織に雇用され続けること)の保障及び外的エンプロイアビリティ(組織外への雇用、転職を可能にすること)の保障を促進することが見出された。また、社員の雇用保障は内的エンプロイアビリティの保障につながることが明らかにされた。さらに、組織によるキャリア開発と雇用保障はエンプロイアビリティ保障を通して職務満足、組織へのコミットメント、キャリア意識、退職意思等にプラスに働いた。 2.「エンプロイアビリティ保障の実証的研究」『日本経営学会誌』第36号 pp.26-37(2015年12月)。民間企業正社員への質問票調査の結果、組織による積極的な能力開発は、社員の二つのエンプロイアビリティ、すなわち内的エンプロイアビリティ(組織内で評価の高さを通して組織に雇用され続けること)及び外的エンプロイアビリティ(組織外への雇用、転職を可能にすること)をともに高めた。つまり、積極的な能力開発によるエンプロイアビリティ保障の成立が明らかにされた。次に、積極的な能力開発はエンプロイアビリティ保障を通しこれまでのキャリアに対する満足感にも将来のキャリアの見通しにもポジティブに働いた。つまり、エンプロイアビリティ保障の有効性も示された。企業が能力開発を通して社員のエンプロイアビリティを高める必要性が明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究実施計画の中心は、①国際比較データの分析、②学会報告、③学会誌への投稿、④書籍の出版であった。①の国際比較調査の実施自体が少し遅れたが、本年1月に実施済みである。分析はこれから行う。②については、本年6月に報告する。③については、既に昨年12月に掲載済みである。④については、2014年4月(『働く人のためのエンプロイアビリティ』(創成社刊))に出版済みである。①の分析の遅れと、②の報告の遅れがあったため、(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、本年度実施した国際比較調査の分析結果を学会報告、論文の形にとりまとめ、公開する。学会報告については、日本労務学会等を予定している。論文は学内誌(青山経営論集)、国内のレフェリー付学会誌(日本経営学会誌等)等を予定している。そのため、学会報告のための旅費を予算に計上する。 第2に、既に刊行された研究書(単著)について、さらに、学内外の研究者及び一般の勤労者の方々に発信していく。そのために、研究室のホームページをさらにリニューアルし、アクセスログによるサイトの分析によって、研究成果に関心を持った層を分析し、今後の共同研究や講演等、さらなる社会への発信につなげていく予定である。そのための専門業者への委託料を予算に計上する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、インターネット調査による勤労者に対する国際比較調査を実施したが、分析及び学会報告に至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、国際比較調査の結果を分析し、学会報告を行う際の旅費を予算に計上する。また、研究室のホームページをさらにリニューアルし、アクセスログによるサイトの分析によって、研究成果に関心を持った層を分析し、今後の共同研究や講演等、さらなる社会への発信につなげていく予定である。そのための専門業者への委託料を予算に計上する。以上の費用に充当する予定である。
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