研究実績の概要 |
以下の学会発表を実施した。 「エンプロイアビリティの国際比較-日本とイギリスの組織従業員の比較の観点から」日本労務学会第46回全国大会研究報告論集,pp.243-250. (2016年6月26日:同志社大学)。エンプロイアビリティに関する7回目の学会発表である。本発表は、エンプロイアビリティに関する統合モデルを構築し、国際比較および時系列比較によってその普遍的側面と個別的側面を明らかにするという本研究全体の「研究の目的」のうち、国際比較という重要な骨格をなすものである。これまでのエンプロイアビリティに関する実証分析は、異なった時期に多様な対象を分析し、エンプロイアビリティ自体の測定方法も異なっていたため、それらの結果をグローバルに応用することは不可能であった。本発表では、同時点で、同一の測定基準による国際比較を行うことで、エンプロイアビリティの位置づけの国際比較、つまりそれ自体及び構造に、国による違いがみられるかどうかの解明を目的とした。 日本とイギリスの正規従業員を対象とする質問票調査の結果、3つの点が明らかにされた。第1に、両国とも従業員のエンプロイアビリティには、所属組織で評価され、雇用され続けるための能力を示す内的エンプロイアビリティと、他の組織に(同等以上の条件によって)転職できる能力を示す外的エンプロイアビリティの二次元から成っていた。 第2に、日本は内的エンプロイアビリティも外的エンプロイアビリティもイギリスより低いことが見出された。 最後に、日本もイギリスも、内的エンプロイアビリティが外的エンプロイアビリティより高く、差もほぼ同じことが明らかにされた。わが国の組織が社員のエンプロイアビリティを高めるための施策(研修等)を行っていく上で、イギリスは一つの目標であることが示されたといえる。
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