研究課題/領域番号 |
24530478
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
高橋 義仁 専修大学, 商学部, 教授 (70409762)
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キーワード | 国際情報交換 / 米国 / 研究開発マネジメント / 研究開発組織 / 研究開発の生産性 / 医薬品研究開発 / オープン・イノベーション / 研究者裁量 |
研究概要 |
本研究は、製薬産業研究開発プロジェクトの生産性に関する研究である。申請者が平成17年に日本で行った「研究開発マネジメント・モデル」の発展的修正を行うことを目的として、平成24年度からの研究計画に従って研究をすすめている。研究に必要なプロセスは、(1)国内に拠点をもつ製薬企業の医薬品研究開発の成功要因に関する質問票調査と詳細調査、(2)米国に拠点をもつ製薬企業の医薬品研究開発の成功要因に関する質問票調査と詳細調査、(3)国内企業と米国企業の比較分析である。 成功要因の対象として、経営意思決定システムの活用の内容、研究開発組織の外部資源活用指向性、研究開発組織の風土、研究開発成果を人事評価に取り入れる項目と程度、研究における研究者自身の裁量権、研究者のマーケット・アクセス(市場指向性)、オープン・イノベーションへの指向性を主な仮説に想定しており、日本でこれらの項目を研究するとともに、医薬品研究開発の歴史が長い米国においても、同様の調査を実施し、医薬品研究開発にかかわる研究のあり方、およびそれらに関する国内企業の相違点を明確にする。 研究方法として、基本的には質問票による調査とインタビューによる詳細分析により、当初目的に資する研究を行う計画である。平成24年度から25年度には、国内企業を対象とする研究として、国内の高度研究開発型製薬企業の研究開発業務に携わるマネジャーへの質問票調査とインタビューにより、研究開発のスタイルやポリシーと研究成果の関係に関する情報を入手した。また、米国企業を対象とする研究として、平成24年度から25年度には、医薬品研究開発の成功要因に関する資料収集および米国の研究者および産業界のアドバイザーとの面談による、本研究の全体枠組みに関するアドバイスを議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の主な研究活動としては、国内製薬企業を対象とする研究として、インタビューを実施、米国企業を対象とする研究として、研究に関するアドバイスを聴取した。平成24年度の主な研究成果の発表活動としては、本研究計画着想の源となった過年度の研究成果と今後の研究課題(本研究での実施対象)に関する報告を複数実施した。これらについては、平成24年度の報告書にて報告している。 平成25年度の主な研究活動としては、国内製薬企業を対象とする研究として、平成25年9月17日に開催されたR&D支援センターの研究会に参加した製薬企業研究開発マネジャーに実施、また平成25年10月26日に開催された製薬企業の幹部研修会に参加した製薬企業研究開発マネジャーに実施した。また、米国企業を対象とする研究として、平成25年5月7日、8日、9日にStrategy and Competitive Intelligence Professionals (SCIP)幹部との面談、平成25年8月6日、7日にはMIT研究者との面談を行い、研究に関するアドバイスを聴取した。 平成25年度の主な研究成果の発表活動としては、医薬品の事業性評価に関する予備的研究成果を平成25年9月17日に開催されたR&D支援センターの研究会で、医薬品開発のイノベーションに関する研究報告を平成25年10月26日に開催された製薬企業の幹部研修会で、製品戦略におけるコンペティティブ・インテリジェンス機能と実行組織デザインに関する予備的研究成果を平成25年11月26日に開催されたマスターズ・フォーラム2013でそれぞれ報告した。また、研究成果に関連する学術論文として、高橋義仁(2013)「市場牽引型創薬研究開発の推進プロセス:アリセプトゼリー剤の研究開発より」が日本経営学会論集に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえ、平成26年5月までに、クラウド・コンピューティング技術を用いた、インターネット上の電子質問票システム(以下、ウェブ・アンケートと略す)を構築した。質問内容には約30項目を設置しており、すでに平成26年5月には、稼働状況のチェックおよびパイロットスタディーを実行している。これをまず日本国内で実施する。米国での調査については、平成26年5月に、ベーリンガー・インゲルハイム社元幹部、ファイザー社幹部、アムジェン社マネジャーに産業界の研究協力を依頼している。本研究を進めるうえで、米国を本拠とする研究をすすめるという部分から、アカデミックなアドバイスをもらえる方(経営学研究者)として、従来打診していたMITビジネススクールのScott Stern教授に加え、ハーバード大学ビジネススクールのGary Pisano教授、Hirotaka Takeuchi教授に打診をしている。米国でのウェブ・アンケートの実施を、日本で先行させるウェブ・アンケートの結果をまとめた後、当初計画通り、本年度中の実施を予定している。日本での結果を踏まえて、若干の質問項目の修正を踏まえたうえで実施する予定である。この時、米国での経営学の調査に必要なノウハウも含めて、米国のアドバイザーの方々に相談し、実行したいと考えている。 平成26年度の研究成果の発表活動としては、研究の仮説提示中心とする報告を、International Federation of Scholarly Associations of Management World Congress 2014 (IFSAM 2014)に応募し採択されている。平成26.年9月にこれまでの研究成果を踏まえた発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
費用のかかる部分である、国内版のウェブ・アンケートの運営、海外版のウェブ・アンケート構築の研究が若干遅れているため。 国内版のウェブ・アンケートの運営にかかる費用、および海外版のウェブ・アンケート構築にかかる費用として使用する予定である。また、米国経営学会での発表を平成27年度に追加で計画するため、その費用として使用する予定である。
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