本研究は、製薬産業研究開発プロジェクトの生産性に関する研究である。申請者が平成17年に日本で行った「研究開発マネジメント・モデル」の発展的修正を行うことを目的として、平成24年度からの研究計画に従って研究をすすめている。研究に必要なプロセスは、(1)国内に拠点をもつ製薬企業の医薬品研究開発の成功要因に関する質問票調査と詳細調査、(2)米国に拠点をもつ製薬企業の医薬品研究開発の成功要因に関する質問票調査と詳細調査、(3)国内企業と米国企業の比較分析である。 成功要因の対象として、経営意思決定システムの活用の内容、研究開発組織の外部資源活用指向性、研究開発組織の風土、研究開発成果を人事評価に取り入れる項目と程度、研究における研究者自身の裁量権、研究者のマーケット・アクセス(市場指向性)、オープン・イノベーションへの指向性を主な仮説に想定しており、日本でこれらの項目を研究するとともに、医薬品研究開発の歴史が長い米国においても、同様の調査を実施し、医薬品研究開発にかかわる研究のあり方、およびそれらに関する国内企業の相違点を明確にする。 研究方法として、基本的には質問票による調査とインタビューによる詳細分析により、当初目的に資する研究を行う計画である。平成24年度から27年度には、国内企業を対象とする研究として、国内の高度研究開発型製薬企業の研究開発業務に携わるマネジャーへの質問票調査とインタビューにより、研究開発のスタイルやポリシーと研究成果の関係に関する情報を入手した。また、米国企業を対象とする研究として、平成24年度から28年度には、医薬品研究開発の成功要因に関する資料収集および米国の研究者および産業界のアドバイザーとの面談による、本研究の全体枠組みに関するアドバイスを議論した。
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