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2014 年度 実施状況報告書

ソーシャル・エンタープライズの成功要因の研究:その戦略と発展プロセスを中心として

研究課題

研究課題/領域番号 24530479
研究機関拓殖大学

研究代表者

潜道 文子  拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードソーシャル・エンタープライズ / 社会起業家 / サッカークラブ / 社会的起業家精神 / フロー理論 / CSR / 宗教 / 教育
研究実績の概要

平成26年度は、日本のソーシャル・エンタープライズ(SE)を率いる社会起業家たちへのインタビュー調査を行い、その活動の発展のプロセスや要因、そして組織の成長過程について研究を進めた。また、以前より研究しているサッカークラブについて、J2やJ3といったJリーグの比較的新しいクラブへのインタビュー調査を実施した。Jリーグのクラブの中でもそれらは、大企業の支援を得ることなく、地域の小さな企業や商店に支えられる比較的事業規模が小さいクラブが多い。そのようなクラブの成功は、組織を率いる社長やGM(General Manager)といった人々が地域社会の課題をとらえ、それを解決することを目指してクラブの経営を行っているケースが見受けられる。このようなクラブに存在する社会的起業家精神や成功の要因について検討した。
さらに、SEの活動から、一般の営利企業のCSRが学べる点を整理し、社会的起業家精神の意義について考察し、また、ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)のフロー理論を通じ、組織で働く人々の働く意味について研究を行った。
加えて、これまで行ったシンガポールやミャンマーでのSE調査に基づき、各国の社会的課題を背景にしたSEの特徴や活動について分析を行い、同時に、マレーシアのようなイスラーム教の信者の多い国における、宗教と社会的起業家精神の結びついたビジネスのあり方や戦略についての考察を行った。
他方、オーストラリアのような先進国におけるCSRやSE、およびそれらの研究や大学におけるCSRやSE分野の教育についてのインタビュー調査を実施し、日本の状況との違いについて考察を行った。
これらは、SEやCSRの中でも比較的新しい分野の研究といえると考える。平成27年度には、これらの研究をさらに進め、それらの成果を論文や学会報告などの形で発表していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SE先進国といわれる、英国や米国におけるSEおよびその環境要因についての研究は遅れているが、これまで、ミャンマーやマレーシア、シンガポール、オーストラリアといった国々でのインタビュー調査を実施し、また、関連分野の資料を通じての研究も行っている。
また、SEのビジネスモデルや経営戦略の類型化まではいっていないが、SEの成功要因や発展プロセスについての事例研究や文献研究については行われている。
さらに、日本内外での学会報告や論文執筆等を行っており、研究成果の発表も積極的に行っている。

今後の研究の推進方策

これまで行ってきている調査や研究をもとに、さらに研究を進め、論文執筆や学会報告など、成果報告を行っていきたい。
特に、SE先進国といわれる英国や米国の現状や理論をさらに研究し、日本をはじめ他の国々の状況との比較も行っていきたい。
さらに、日本のSEへのインタビュー調査をさらに進め、その発展プロセスや戦略の特徴等を明らかにしていきたい。また、国別としては、当初、計画段階では、欧州や米国、そして、バングラディッシュのような国々のSEでのインタービュー調査を中心とする研究を考えていたが、新興国といわれる国々を起点として発信される「リバース・イノベーション」の意義も高く評価される状況もあることから、平成27年度は、これまで研究してきたマレーシアやシンガポール、ミャンマーなど、アジアの国々のSEを中心に研究を進めたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

当初、SE先進国といわれる英国および米国のSE(ソーシャル・エンタープライズ)および中間支援組織へのインタビュー調査等を計画していたが、それらの国のSEやそれを取り巻く環境については、文献研究にとどまり、現地調査が実施されていないことが大きいと考える。

次年度使用額の使用計画

「リバース・イノベーション」が注目されるように、アジアをはじめとする新興国から発せられる社会の課題解決を目指す新しいアイディアやビジネスモデルは、今後のビジネスに大きな影響を与えるものと考えられる。その意味からすると、これまで調査を行った、マレーシアやシンガポール、ミャンマーといったアジアの国々のSEに関する調査をさらにすすめ、それら組織のビジネスモデルや戦略の特徴等について研究を行いたいと考えている。
また、これまでの調査や研究の成果を国内外の学会で報告することを予定しているため、旅費等での使用を計画している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] CSRとフロー体験─ソーシャル・エンタープライズから学ぶ企業の戦略的社会性─2014

    • 著者名/発表者名
      潜道文子
    • 雑誌名

      経営経理研究

      巻: 第102号 ページ: 1-31

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] グローバル競争時代における経営学教育とCSR2015

    • 著者名/発表者名
      潜道文子
    • 学会等名
      日本経営倫理学会経営倫理教育研究
    • 発表場所
      金沢工業大学
    • 年月日
      2015-03-24
  • [学会発表] 日本の伝統的な企業経営とCSRとの関係2015

    • 著者名/発表者名
      潜道文子
    • 学会等名
      日本経営倫理学会企業行動部会
    • 発表場所
      中央大学駿河台記念館
    • 年月日
      2015-01-15
  • [学会発表] What can CSR learn from social entrepreneurship?2014

    • 著者名/発表者名
      Sendo, Ayako
    • 学会等名
      IFSAM 12th World Congress
    • 発表場所
      Meiji University, Tokyo, Japan
    • 年月日
      2014-09-03
  • [学会発表] Sport and Social Entrepreneurship: Professional Football Clubs as Social Enterprises2014

    • 著者名/発表者名
      Sendo, Ayako
    • 学会等名
      31th Pan-Pacific Business Association Conference
    • 発表場所
      Sakai, Japan
    • 年月日
      2014-06-03
  • [図書] 日本人とCSR─遊戯・フロー体験・ダイバーシティ2014

    • 著者名/発表者名
      潜道文子
    • 総ページ数
      390
    • 出版者
      白桃書房

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公開日: 2016-05-27  

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