本研究の目的は、多国籍企業が本国の経営資源を活用して新興国市場において価値を実現する(value achieving)あるいは実現できないという現象に対して、その論理を解き明かすことにある。新興国市場戦略は市場の特殊性を軸に議論されてきた。先進国市場で構築した経営資源の新興国市場での活用が困難であることが最大の課題とされている。 40社を超えるケース分析の結果、我々は本国資源による価値実現のためには、現地市場における本国資源のリポジショニング行動が必要であることを解明した。現地顧客の選好と現地市場における資源の希少性を再度位置づけることを通じて、多くの企業が競争優位を獲得している。
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