研究課題/領域番号 |
24530489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
稲垣 京輔 法政大学, 経営学部, 教授 (10327140)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 質的研究 / 経営組織 / 企業家 |
研究概要 |
上半期については、企業家研究の言語論的・実践論的転回に基づいた先行研究の整理と分析枠組の構築、および 具体的なフィールドワークに先立ってリサーチメソッドの整理をおこない、経営組織論、社会学を中心としたジ ャーナルに基づいた文献サーベイを実施した。 また、これら文献レビューを総括しリサーチメソッドをブラッシュアップする機会として、各年の10月にRIETIにおける研究打ち合わせの会合に参加した。 フィールド調査については、年度毎に定点観測をおこない、本研究が対象とするのは次の2つの分野にフォー カスしておこなった。1多摩地域、京滋地域、大阪地域に集積するグローバル・ニッチ・トップ型中小企業において連携組織を形成している4社の連携関係の構築プロセスの比較、2イタリア・モデナ地方におけるバイオメディカル関連企業を主体としたスピンオフの連鎖とコモ地域における絹産業の再活性化における産学連携にフォーカスし、オープン・イノベーション型 の事業システムを確立する上の制度設計の経緯についてインタビュー調査をおこなった。 調査に基づいた成果について、1については、RIETIのワーキングペーパーとしてすでに成果をまとめ論文として公刊した。そして2については、京大論叢に研究成果を掲載する予定で、文献資料の収集を終えて原稿作成段階となっている。また、コモ地域のヒアリング調査に関しては、1の研究成果における基礎資料として比較検討の材料として活用することが可能となった。また、フランスのリヨン大学でおこなわれた第26回RENT(欧州企業家研究)の国際学会で、クリエイター間の協働関係に関する研究成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、ヒアリング調査に関しては対象が変わりつつある。当初の計画では、医工連携を目的とした協働のあり方についてがメインのフィールドと考えられていたが、昨年度の調査から産産連携の重要性が増していることが明らかになった。その結果を踏まえて、中小企業間の連携プロセスについての調査をすすめ、研究成果を提出してきた。 すでに1回の国際学会での報告と、1本の論文の掲載が完了しており、中間的な研究成果としては十分な水準に達していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
フィールド調査については、継続調査が主体となる。当初の計画にはなかったが、産産連携の重要性が増しているため、京都、大阪、田町行きなどで展開する中小企業間の協働について調査を進めている。また、大阪市が支援するクリエイティブ ・クラスターの形成に対する広告制作クリエイターと製造業、行政との連携における事業創造プロセスを中心に、ヒアリング調査を継続したい。さらに、イタリアのベネト地方や南イタリア地域における企業間の協働関係を促進した要因についてヒアリング調査を行い、経営者のもつネットワークに着目し、業種を超えた企業間の連携と事業システムの構築について明らかにしたい。 とりわけ、企業と大学、病院、行政を結ぶ協同組合組織CONSOBIOMEDへの聞き取り調査をおこない、連携におけるネットワークの構造とポリティカルな関係構築について分厚い記述に基づ いた調査資料の作成を開始する。 また、イタリアでは、産業集積や地域中小企業における学際的なアプローチで研究が展開されてい る。申請者は学術的な交流を目的としながら、イタリアのボローニャ大学、トレント大学、パドゥバ大学、フラ ンスのストラスブール大学を候補として、フレームワークに関する中間的な成果について報告の機会を持つ。 研究成果の中間報告については、年度内に完了したイタリアも出な地方に置けるバイオクラスターの形成と協業関係について、京大論叢に投稿する。また25年度中は広告制作クラスターの形成に向けた取り組みに対するクリエイター と製造業の連携に関する報告を国内の学会(ベンチャー学会)でおこない、さらにその研究成果をワーキングペーパーとして蓄積する。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用残額が2492円であるが、今年度の交付金とともに消耗品に計上予定である。
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