研究課題/領域番号 |
24530496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
西浦 昭雄 創価大学, 学士課程教育機構, 教授 (00298217)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東アフリカ共同体 / ビール産業 / サプライチェーン・マネジメント / 経営学 / 海外直接投資 / ケニア / ウガンダ / タンザニア |
研究概要 |
平成24年度は、本格的な調査の入念な準備を目標に掲げていた。具体的な計画として、①先行研究調査による比較の視角の明確化、②日本における現地企業データ、産業情報の収集、③アフリカでの予備調査の3点を掲げていた。 ①先行研究調査について、研究代表者の所属機関の図書館やデータベースを活用し、平成25年度からの本調査に向けての準備とすることができた。 次に②の現地企業データや産業情報の収集については、ビール会社のみならず生産段階で結びつきが強い砂糖製造企業や主要販路であるスーパーマーケット企業の年次報告書を入手し、チェックした。さらに市場情報が限定されている南スーダンやルワンダにおけるビール販売の状況についても現地滞在経験者にヒアリングを行った。 ③のアフリカでの予備調査については、平成24年7月に南アフリカ共和国に行き、東アフリカのビール産業における主要プレーヤーの一つであるSABMiller社アフリカ本社を訪れ、アフリカにおけるサプライチェーン責任者にインタビュー調査を実施した。サプライチェーンの実態に関する情報とともに、現地調査における協力を得ることができたことは、本調査を実施する上で大きな後押しとなった。また同年8月~9月に別件でケニア共和国を訪問した際、スーパーマーケットにおけるビール・ブランドの予備調査を行った。可能であれば訪問すると計画していたウガンダ、タンザニアへの訪問は時間的な制約から訪問しなかったが、両国とも滞在者と連絡をとり本調査に向けての準備とした。特にウガンダについてはかねてより農産物加工業について意見交換をしていたマケレレ大学アグリビジネス・天然資源経済学科長と連携をとり研究協力についての承諾を得ることができた。以上のことから、平成24年度の研究実施計画については概ね達成できたと捉えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は「東アフリカ共同体」をビール産業のサプライチェーンマネジメント(SCM)の視点から分析することにあった。そこで到達目標として、本研究期間の3カ年で、①東アフリカ・ビール産業のインバウンド面(原料調達→モルト製造→ビール製造)とアウトバウンド面(ビール製造→販売)のメカニズムを明らかにすること、②比較軸を設け、東アフリカのビール産業の特徴を明らかにすること、③東アフリカ共同体の形成によるビール産業のSCMの影響について考察すること、の3点を掲げた。 研究1年目にあたる平成24年度については予備調査的な位置づけをしていたため、文献調査やビール産業サプライチェーン責任者へのインタビュー、現地研究機関との連携等、基本項目の理解を主な目標としていた。これについて上記のように概ね達成できた。平成25年5月に開催される日本アフリカ学会学術大会において、その東アフリカ・ビール産業のサプライチェーンについての現状理解を中間報告的に発表することが決定している。また、同年10月に開催される予定の京都大学アフリカ地域研究会においても東アフリカのビール産業について報告することが決定しており、こうした機会の意見交換を利用して分析視角をより明確なものにしていきたいと考えている。 また、ウガンダにおけるビール産業のサプライサイドチェーン(インバウンド面)について論じた英語論文と、南アフリカ企業のアフリカ諸国への進出についての英語論文についてそれぞれ査読が通過し、英文書籍の一章として発刊される方向で話しが進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した通り、平成25年度から研究の本調査に入っていく。入手しうる文献や資料のみからでは情報が限定されていることから、本研究の到達目標を達成することは困難である。現地フィールド調査によりサプライヤーや販路等、さらには東アフリカ共同体事務局へのインタビュー調査は、東アフリカ・ビール産業のサプライチェーン・マネジメントを明らかにする上で不可欠である。そこで平成25年度は2度現地フィールド調査を実施していきたいと考えている。 こうした現地フィールド調査に加えて、理論的枠組みづくりと比較軸の形成は分析する上で欠かせない。そこで、学会や研究会での発表、それに現地をはじめとする研究者との意見交換を積極的に行うことで補強していきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究2年目となる平成25年度は本調査を実施し、フィールド調査による分析に必要な情報を収集することを目標にしている。 平成25年8~9月と、平成26年2月~3月に東アフリカのケニア、ウガンダ、タンザニア等に2~3週間訪問し、原料調達等のインバウンド面と販路等のアウトバウンド面をフィールド調査することを予定している。特にウガンダについては、原料サプライヤー等の契約関係や必要に応じて農家へのアンケート調査を実施する際、さらにはスーパーマーケットや主要卸売業者等へのインタビューのおいては研究助手の協力を得ることも想定している。マケレレ大学アグリビジネス・天然資源経済学科長との間で研究に関する打ちあわせを始めている。したがって、研究費の8割以上は、当初の計画通り旅費と人件費・謝金に充てられる予定となっている。これ以外では必要書籍の購入に充てていく予定である。
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