研究課題/領域番号 |
24530496
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
西浦 昭雄 創価大学, 学士課程教育機構, 教授 (00298217)
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キーワード | 東アフリカ共同体 / ビール産業 / サプライチェーン・マネジメント / 経営学 / 海外直接投資 / ケニア / ウガンダ / タンザニア |
研究概要 |
研究2年目となる平成25年度には本調査を実施し、本課題の分析に必要な情報を収集することを目標としていた。そこで、平成25年8月~9月と平成26年2月~3月に東アフリカのケニア、ウガンダ、ケニア等に2~3週間訪問調査し、サプライチェーンの原料調達等のインバウンド面と販路等のアウトバウンド面をフィールド調査することを計画していた。 結論的には予定していた調査項目はほぼ達成されたといえる。まず平成25年8月17日から16日間ケニアとウガンダを訪問した。ケニアでは東アフリカ2大ビール企業グループの一つであるEABL社の農業部門責任者にインタビューし、さらにウガンダ子会社の担当者の紹介を受けた。ウガンダでは、もう一つのビール企業グループであるナイル・ブルワリーズ社(NBL)との間で事前にインターネットを通じて綿密な打ち合わせをしていたこともあり、同社の全面協力が得られた。同社の本社を訪れ、発送センター責任者にインタビューをするとともに、販売部門担当者に販売ボトラーや卸売店、小売店等を訪問した。ジンジャ、カプチョルワ、バララ、カベレにおいて同社のビール生産工場(2か所)、モルト生産工場、販売ボトラー3か所、技術センター2か所、砂糖精製会社、メイズ加工企業、農民組合、農家13件、地方政府農業担当部署にインタビューすることができた。その後、首都においてはEABL社の子会社の農業部門責任者や外資系スーパーマーケットの現地法人社長にインタビューをした。 次に、平成26年3月1日から8日間、タンザニアを訪問し、ダルエスサラーム、ムワンザ、ムベヤの3都市において調査を行い、タンザニアの最大ビール企業であるタンザニア・ブルワリーズ社(TBL)が保有する3都市の醸造所を訪問し、各工場責任者、販売部門責任者、発送センター責任者へのヒアリングを行うとともに、4つの独占販売業者、14の販路を訪れ、実態を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は「東アフリカ共同体」をビール産業のサプライチェーン・マネジメント(SCM)の視点から分析することにあった。そこで到達目標として、本研究期間3ヵ年で、①東アフリカ・ビール産業のインバウンド面(原料調達→モルト製造→ビール製造)とアウトバウンド面(ビール製造→販売)のメカニズムを明らかにすること、②比較軸を設け、東アフリカのビール産業の特徴を明らかにすること、③東アフリカ共同体の形成によるビール産業のSCMの影響について考察すること、の3点を掲げた。 第1年目にあたる平成24年度には、予定していた文献調査やビール産業サプライチェーン責任者へのインタビュー、現地研究機関との連携等の目標を掲げ、概ね達成できた。 第2年目にあたる平成25年度においては、ケニア、ウタンダ、タンザニアで、インバウンド面とアウトバウンド面における本調査を計画していた。これに対して、平成25年8月~9月に2週間強、ケニアとウガンダを訪問調査し、さらに平成26年3月には1週間タンザニアを訪問し、上記のように概ね目標を達成できた。 次にアウトプット面では、ウガンダにおけるビール産業のサプライチェーン(インバウンド面)について論じた英語論文と、南アフリカのアフリカ進出について分析した英語論文がそれぞれ書籍として発刊された。さらに、平成25年5月に開催された日本アフリカ学会学術大会、同年9月のタンザニア・ビジネスセミナー(日本国際協力機構JICAと日本貿易振興機構JETROの共催)、同年10月に京都大学アフリカ地域研究会(一般公開)において東アフリカ・ビール産業のサプライチェーンに関して発表・講演し、参加者との意見交換を通じて分析視覚を明確化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度(3年目)にあたる平成26年度は交付申請書に記載した通り、調査のフォローアップを行うとともに、学会等で公表しながら研究課題を明確化していくことを計画している。 具体的には、まず平成26年5月の日本アフリカ学会学術大会(京都大学)で、東アフリカ・ビール産業のアウトバウンド面を中心としたサプライ・チェーンについて発表することが決定した。さらに平成26年8月~9月には2週間程度、ケニア、タンザニア、ウガンダのうち少なくとも2カ国は訪問し、論文を作成する上でフォローが必要な部分を調査する。さらに、ウガンダのマケレレ大学など研究機関とも意見交換する機会をもち、分析視覚に磨きをかけた上で、研究成果の取りまとめ作業に向けて取り組んでいく。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度からの繰越分が16.5万円分があり、これを活用してウガンダのマケレレ大学アグリビジネス学科に協力を依頼して実施する予定だった現地調査が、先方の都合によりできなかったが、他の研究協力先の確保により予定したよりも費用がかからずに実施することができた。また、2014年2月~3月に予定していた東アフリカへの現地調査が、研究代表者の本務校業務としてのフィリピン出張により当初の2週間から1週間に短縮されたため次年度使用額が生じることになった。 2014年8月~9月にかけて実施するフォローアップ調査を充実させるために使用していきたいと考えている。当初想定していた以上に東アフリカのビール産業や東アフリカ共同体の動きは早く、一度訪問した機関にも再度訪問し、その変化と今後の見通しを確認する必要が生じている。したがって繰越分を現地調査強化のためにあて、研究の完成度をより高めるために活用していきたいと考えている。
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