研究課題/領域番号 |
24530497
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
角埜 恭央 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20376817)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 技術戦略 / 社会調査 / 統計分析 / シミュレーション |
研究概要 |
日本のソフトウェアのユーザ企業は、ITベンダの成果物の価格・品質・納期等に必ずしも満足している状況ではない。同時に、ITベンダは技術革新、中国・インド等の新規参入との競争・協調を視野に入れた将来の競争力強化が不可避である。しかし、我国ソフトウェア技術戦略を構想するための実証研究は限られている。そこで、研究代表者らは、経済産業省/情報処理推進機構(METI/IPA)の支援により、2005-07年度にSE度調査を実施し、日本のITベンダのソフトウェア構築能力(以下、SE度:資源ベース論と因子分析等に基づき、アウトプット力、プロジェクト管理力、品質管理力、プロセス改善力、開発技術力、人材育成力、顧客接点力の7因子から構成)を測定した。 本研究では、上記成果を競争環境とSE度・経営力の経年構造の実証の観点から発展させ、ソフトウェア産業の国際技術戦略設計の指針を示す。H24年度は動的共分散構造モデリングを用いて、ITベンダが短期的収益性のみならず、成長性・安定性を含む中長期的経営力をあげるメカニズムを実証した。そのため、SE度調査への回答企業151社の競争環境・SE度のデータに長期財務データを統合して分析用DBを構成し、パネル分析等を用いた動的共分散構造モデリング(longitudinal modeling)により、ITベンダの中長期技術戦略の優劣を検証した。上記の知見を参考にしながら、ソフトウェア産業構造のシミュレーションについて基本モデルの作成と予備実験を行った。また、国際競争環境の最新状況把握のため海外研究協力者への聞き取り調査等を行った。さらに、大規模な社会調査であるSE度調査と統計分析とシミュレーションを接合する方法論について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動的共分散構造モデリングを用いた競争環境とSE度・経営力の経年構造の実証分析、および、国際比較分析およびエージェント・ベース・シミュレーションによる産業成長シナリオの可視化についておおむね当初想定した進捗があった。 第1に、動的共分散構造モデリングを用いた競争環境とSE度・経営力の経年構造の実証分析を行い、ITベンダの中長期技術戦略の優劣を検証し、論文や国際会議などで報告した。第2に、ソフトウェア産業構造のシミュレーションについて基本モデルの作成と予備実験を行った。これに先立ち、国際競争環境の最新状況把握のため国内外の専門家への聞き取り調査等を行った。第3に、大規模な社会調査であるSE度調査と統計分析とシミュレーションを接合する方法論について考察し学会発表などを行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、動的共分散構造モデリングを用いた競争環境とSE度・経営力の経年構造の実証についての分析を深める。 同時に、国際比較分析およびエージェント・ベース・シミュレーションによる産業成長シナリオの可視化へ重点をシフトする。すなわち、動的共分散構造モデリングや国際競争環境の観点から得た日本ソフトウェア産業への影響因子を、複数シナリオに反映させてシミュレーションを行う。さらに、大規模な社会調査と統計分析とシミュレーションを接合する方法論についてより詳細に考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は身内の事情等により旅費等の使用を控えた(例えばICISやPICMET等の関連学会への参加・発表を見合わせた)。次年度は関連学会や研究打合せのための旅費・参加費(欧米アジア他への4回程度の海外出張費を含む約130万円)、研究協力への謝金(開発支援・英文校閲費等の約30万円)、その他(約40万円)を使用する予定。
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